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「大学サッカーは否定する部分がない」清水エスパルス・加藤拓己が4年間で示した成長

2022.02.02

今季から清水エスパルスの一員となる加藤拓己は山梨学院大付属高校時代にU-17日本代表に選出され、世代を代表するFWとして注目を集めた。しかし、卒業前にエスパルスで練習参加をするものの、獲得は見送られてしまう。

その後、進学した早稲田大学でもトップチームへの合流に遅れ、ケガも重なり苦しい4年間を過ごした。しかし、自身と向き合い心身ともに成長した結果、一度は加入が叶わなかったエスパルスからのオファーを勝ち獲った。

早稲田の4年間を振り返り「否定する部分がない」と語る加藤拓己が思う、大学サッカーの魅力とは?

翻されたユース昇格が運命を変える

――いざプロ生活が始まってみて、いかがですか?

 「まだリハビリで別メニューなのですが、新鮮ですね。より責任感は強く感じます。1日のスケジュールがサッカー中心になったので、24時間どうサッカーに対してアプローチするかを考えて過ごさないといけない。あらためてサッカー選手としての自覚が芽生えたと同時に、プレッシャーと戦っています」

――最後に大ケガをして(前十字靭帯断裂)しまいましたが、大学時代を振り返っていかがでしたか?入部が遅れたり、ケガに悩まされたり、と苦しい時間もあったかと思います。

 「全体的に見れば楽しかったです。苦しいことの方が多かったですが、それもいい思い出なので。自分がいる時にタイトルを獲れなかったことは悔しいですけど、多くの人に出会っていろいろな価値観に触れ、学ぶことができましたから」

――名前を出すとすると、特に誰との出会いが大きかったでしょうか。

 「外池(大亮)監督との出会いは一番大きかったですね。たまに僕の理解が及ばないことも言われましたけど、それも愛だと思っていたので。あえて難しい課題を与えられることもありましたけど、それをどう乗り越えていくのか、チームが辛い時にどういう振る舞いをしなければいけないのか、という部分を教えてもらいましたね。また、”1人の人間としてどうあるべきか”という部分は玉井(智久)コーチに多くの面から教えてもらうこともできました。4年間、外池さんの下でサッカーができたことは大きな財産だったと、あらためて思います」

――加藤選手の進路選択について伺いたいのですが、鹿島アントラーズつくばから山梨学院高校へ進んだのはどういった経緯だったのでしょうか?ユースに上がれなかった理由が気になっていました。

 「この話をするは初めてですね。ずっとユースに上がれると思っていましたし、そういう話を受けてもいました。ただ、自分が中3の夏に、アントラーズジュニアユース(本体)がクラブユースで優勝したんです。それによって、本体からユースに多く上がることになり、自分が上がれなかった。これを告げられたのが9月末だったんですよ」

――だいぶ遅いですね。

 「自分はユースに上がれるものだと思っていたので、高校選びもしておらず。その時に候補として残っていたのが4校あって、その中から山梨学院に決めたんです。決め手は、当時のコーチだった吉永(一明・現 アルビレックス新潟シンガポール監督)さんからいただいた連絡でした。『私はあなたと一緒にやれることを期待して待っています』という一文だけだったんです。吉永さんは自分のところに来てくれる自信があったのかわからないですが、直感的に『この人の下でやったら自分も強くなるんじゃないか』と思ったんです。こうして、山学へ行くことを決めました」

――偶然ではありますが、進学した山梨学院の2年先輩に前田大然選手がいたのも大きかったのかなと。

 「自分が1年の時、大然君が3年生でした。あの人は天性の才能を持っていましたけど、努力を怠らない。速さと身体能力がありつつも、クロスの入り方やシュート練習をやり続けていた。その姿を見続けていたので、今の結果が出ているのは納得です」

現在はセルティックでプレーする前田大然

――“クロスの入り方”で言うと、大学サッカー見ていても加藤選手が得意とするところなのかなと。前田選手から学んだものもあったのでは。

 「大然君は身長が大きくないけどクロスから点を取るんですよ。でも、自分は大きいのにそれができない。だから、めちゃくちゃ見ていましたね。一緒にトレーニングもする中で覚える部分もあったし、大然君から学ぶことは本当にたくさんありました。当時のチームのストライカーコーチにも教えてもらって。『得意なプレーは?』と聞かれた時に『クロスからのシュートです』と自信持って言えるのは、大然君とそのコーチのおかげです」

「4年後にエスパルスに戻ってくる」という誓い

――加藤選手は高卒でプロに行くのかなと思っていました。……

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大学サッカー早稲田大学清水エスパルス

Profile

竹中 玲央奈

“現場主義”を貫く1989年生まれのロンドン世代。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌『エル・ゴラッソ 』で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部部長。複数の自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。愛するクラブはヴェルダー・ブレーメン。