ジダン狂騒曲の幕開け!「全部が新しい」フランス代表が掲げる“3P”とは?
おいしいフランスフット #33
1992年に渡欧し、パリを拠点にして25年余り。現地で取材を続けてきた小川由紀子が、多民族・多文化が融合するフランスらしい、その味わい豊かなサッカーの風景を綴る。
footballista誌から続くWEB月刊連載の第33回(通算191回)は、「今ようやく現実になった」ジネディーヌ・ジダン代表監督(54歳)誕生の大フィーバーと、「まるっきり変わった」新生レ・ブルー(フランス代表)の船出をレポート。
「この4、5年間、私はこの日が来るのを待っていた」
4試合を行った2026-27シーズン最初の代表ウィークが終わった。フランス代表にとってそれは、とても特別なものだった。
14年間続いたディディエ・デシャン監督の時代が終わり、バトンを受け取ったのは、ジネディーヌ・ジダン。サポーターにとっては、ただ単にジダンがようやくフランス代表の監督になった、というだけでなく、フランスサッカー史における英雄が代表チームに帰ってきた、ということを意味していた。
“ようやく”というのは本人も同じ思いだったようで、夏のワールドカップ後の7月28日、パリ市内のフランスサッカー連盟(FFF)本部で行われた就任会見の席で、ジダンはこう語っている。
「この4、5年間、私はこの日が来るのを待っていた。そして今ようやく、それが現実になった」
2020-21シーズン終了後にレアル・マドリーの監督を辞任したあと、複数のクラブから監督のオファーを受けながらも、それらをすべて断ってきたとも話した。
「レアル・マドリーでの経験のあと、私がやりたかったのはフランス代表を率いること、それだけだった」
初陣は9月25日、UEFAネーションズリーグ・リーグA第1節のトルコ戦(A)。キリアン・ムバッペのゴールにより0-1で勝利すると、3日後のベルギー戦(A)は、マイケル・オリーセが試合終了間際にソロドリブルから個人技でねじ込み0-1で辛勝。
2戦2勝で迎えた第3節、舞台はフランスに移る。10月2日にスタッド・ドゥ・フランスで行われたイタリア戦は、ジダン大フィーバー。
スタジアムに足を運んだサポーターの中には『ZIDANE 10』のユニフォーム姿が多数。スタンドには『Bienvenue chez toi(君のホームにおかえり)』と書かれた横断幕が翻(ひるがえ)り、観客から盛大な「ジズー!」コールが巻き起こった。
この栄えある母国での初陣は、残念ながら白星では飾れなかった。またしてもオリーセの得点で1-0とリードしたのだが、インテル所属のCBアレッサンドロ・バストーニに返されて1-1のドローで終了。
しかし3日後のベルギー戦では4-1と大勝し、3勝1分の無敗で初の代表ウィークを締めくくった。
「ジダンからパスを受けてシュート練習ができるなんて、これ以上の幸せはない」
初戦のトルコ戦でムバッペが左膝を痛めて離脱、という不運な出来事以外は、メディアからもサポーターからも、ジダン新体制はポジティブなスタートとして受け止められている。
とりわけ歓迎しているのは選手たちだ。「英雄ジネディーヌ・ジダンから指導を受けられる」というだけで感激していた選手もいたようだが、ジダン監督はトレーニング時に、自らも鳥かごパスに混ざったり、シュート練習ではアタッカーへのパス出し役を務めるなど、グッと近い距離感で選手たちと接した。
今回が初招集のFWエステバン・ルポールは、
「ジダンからパスを受けてシュート練習ができるなんて、これ以上の幸せはない」
とコメントしていたが、リップサービスなしの本音であろう。
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Profile
小川 由紀子
ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。
