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硬直した韓国代表に自由と創造を。元スペイン代表監督ロベルト・モレノの「大改革」を読む【後編】

2026.09.20

サッカーを笑え #76

W杯のグループステージ敗退とホン・ミョンボ代表監督の辞任から2カ月を経て、韓国サッカー協会は後任にロベルト・モレノを指名。国際Aマッチ計6試合が行われる1127日まで、という短期契約を結んだ(評価次第で来年1月開幕のアジアカップまで延長)。2011年からルイス・エンリケ監督(現パリ・サンジェルマン)の右腕としてローマ、セルタ、バルセロナ、スペイン代表で従事し、2019311月には同代表監督として9試合(72分)を指揮。その後モナコ、グラナダ、ソチを率いてきた49歳のスペイン人は何者なのか。後編では“整然と”北中米の地を去った前監督のチームを、新監督が何をどこから作り直すのか考察してみたい。

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静的・動的ストラクチャーという考え方の導入から

 さて、ここからはW杯グループステージを分析した上で、ロベルト・モレノなら韓国代表の何を変えるかを推測してみた。3試合を見てショッキングだったのは、あのチームには静的ストラクチャー、動的ストラクチャーの区別が存在しなかったことだ。静的ストラクチャーは[5-2-3]、動的ストラクチャーはマイボール時も相手ボール時も[5-2-3]だった。唯一の違いは、大外の2人のポジショニングの高さによって[3-4-3]に見える時もあった、という程度だった。

W杯の韓国代表を見ての感想

・チェコ戦(○2-1):前半は静的・保守的過ぎたが後半ギアを上げて逆転勝ち。順当な勝利
・メキシコ戦(●1-0):チェコ戦よりも良い。負けるような内容ではなかったがGKの個のミスで失点。失点後のリアクションを監督が交代や戦術変更でサポートできず
・南アフリカ戦(●1-0):内容はベスト。ボール出しも積極的で、両サイドの位置取りも高い。セントラルCBの飛び出しミス、個のミスで失点

・グループステージで敗退するような内容ではなかったが、静的でリアクション能力が低いチームであり、責任者である監督に批判が集中する形になったのには納得。新監督の作りたいチームとは正反対のチームで、改革はドラスティックになり、その分効果がはっきり表れやすいかも

新監督が修正しそうな問題点

■チーム戦術

・硬直化した[5-2-3]([3-4-3])。静的・動的ストラクチャー、マイボールか否かで並びを変える、という考え方がない
・ポジションが属人化。フレキシビリティが皆無でサプライズなし
・DFライン、MFライン、FWラインのライン間交流なし
・各ライン内でのレーン間交流なし
・攻撃的シフトが両サイドを上げる、以外の選択肢がない
・象徴がキム・ミンジェ。弾き返し専任でマイボールでの貢献ゼロ
・例外がイ・ガンイン。唯一完全な自由を与えられていたが意欲が空回り

・ボール出しの軽視。GKからのロングボールを多用
・ボール出しが稚拙。例:相手2人に4人(3バック+1)の過剰で臨む
・保守的。後ろに人数を余らせ、余っている選手が上がらない
・守備は堅い。ただし堅さは人数に依存
・フィニッシュワークは3FWにお任せ

■個人戦術

・ライン間でボールをもらう意識が低い
・ボールを運んで引き付ける意識が低い
・仕掛けず、待ちの姿勢の選手が多い
・整然と横に並んでいる。斜めでボールを受ける意識が低い
・前にパスコースを作るより、後ろにパスコースを作る後ろ向きの選手が多い

W杯3試合にフル出場した25歳のイ・ガンイン(代表通算50試合11得点14アシスト)。今夏パリ・サンジェルマンからアトレティコ・マドリーに移籍した

……

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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