プレミアリーグは「宗教ゼロ」時代=伝統よりも合理性?開幕戦のチェルシーに浸透するシャビ・アロンソ新監督の色
新・戦術リストランテ VOL.130
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第130回では、プレミアリーグ開幕戦の打ち合いを制して白星発進に成功したシャビ・アロンソ新監督率いるチェルシーに注目。伝統よりも合理性?指揮官の色が浸透しやすい「宗教ゼロ」時代のプレミアリーグとの相性を占う。
シャビ・アロンソ新監督のチェルシーがプレミアリーグ開幕戦に勝利しております。フルアムとの「ご近所対決」を3-2で制しました。際どい内容ではありましたが、シャビ・アロンソ監督の色はよく出ていました。
プレミアは世界一競争力の高いリーグです。そういう厳しさはありますが、監督にとって戦術の浸透はしやすい環境なのだと思います。
レアル・マドリーではスター選手のエゴとも戦わなければならなかったシャビ・アロンソでしたが、チェルシーではとりあえずそうした苦労はなさそうです。
欧州は多くのクラブが多国籍化していますけど、プレミアはとりわけそう。5大リーグでも外国籍選手の占める割合がトップです。唯一7割を超えているので、自国の選手がほとんどいないケースも珍しくない。そういう意味では伝統とか風習がなくなっていて、合理性と競争力が原動力になっています。もともと様式美は重視されていないので、監督にとっては勝ちさえすれば何をやっても許容される環境です。
まるで武術?あえて弱点を見せる前進守備の妙
開幕戦のチェルシーは[3-4-3]システムでした。シャビ・アロンソ監督がかつて率いたレバークーゼンと同じです。
守備から説明していきましょう。前列は1トップ2シャドーというより、3トップとしてとらえたほうがわかりやすいです。パーマー、ジョアン・ペドロ、ロジャーズの3人が横並びで中央3レーンを守ります。
2列目はボランチの2人。フルアム戦の先発はリース・ジェームズとラビアでしたが、本来のコンビはエンソ・フェルナンデス&カイセドなのかもしれません。3列目は5バック。ただし、ウイングバックはプレス時に前進するので、ここを2列目にカウントすれば[3-4-3]、3列目とするなら[5-2-3]です。
守備の特徴は、とにかく前進守備というところ。構造上、2つの(左右合わせると4つ)空いているスペースがあります。前列3人の脇と、ボランチとウイングバックの間です。
ここはわざと空けているという言い方もできます。
……
Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
