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試行錯誤はU-21 Jリーグと変わらず。AZ・市原吏音の父と元VVVコーチの藤田俊哉に聞く、オランダのリザーブチーム事情

2026.08.25

VIER-DRIE-DRIE~現場で感じるオランダサッカー~#27

エールディビジの3強から中小クラブに下部リーグ、育成年代、さらには“オランイェ”まで。どんな試合でも楽しむ現地ファンの姿に感銘を受け、25年以上にわたって精力的に取材を続ける現場から中田徹氏がオランダサッカーの旬をお届けする。

第27回は、8月22日にU-21 Jリーグが開幕した日本と変わらぬ試行錯誤の連続も。オランダのリザーブチーム事情を、現場を知るAZ・市原吏音の父、元VVVコーチの藤田俊哉の証言とともに掘り下げる。

 AZはアヤックスと並ぶ育成型クラブだ。今季のエールディビジ第2節ユトレヒト戦では23人のメンバーのうち17人がアカデミー出身。そのうち8人が先発に名を連ねた。

 彼らの成功の源は、ヨングAZという名のリザーブチーム。ヨングAZはヨング・アヤックス、ヨングPSV、ヨング・ユトレヒトともにオランダ2部リーグに参戦することで、プロとしてティーンエイジャーのうちに50試合前後の試合経験を積むことができる。仮にトップチームに昇格したり、定着したりすることが叶わなくても、他のプロチームや一流アマチュアクラブへ移るのに十分な実績だ。

 AZはアムステルダムから40km北のアルクマールを本拠地にするクラブだが、練習施設のあるワイデウォルマーとアムステルダムはたった20kmしか離れてない。つまり、アヤックスとAZはタレント発掘でも競合する同じテリトリーのクラブなのだ。それでも両クラブが育成方針の異なりによって棲み分けができているのは面白い。

 アヤックスはチームより個。AZは個よりチーム。自身の力を伸ばすのにフォーカスしたい子はアヤックスに行くし、仲間とともに成長することに喜びを覚える子はAZに進む。もしくはサッカー観。華やかなサッカーに共感する子はアヤックスを目指すだろうし、質実剛健な子はAZに進むだろう。またアヤックスがいくら育成型クラブと言っても、惜しみなく大型補強をするクラブという一面もあるので、「AZのほうがトップで活躍できるチャンスがある」と判断する子もいる。かつてはアヤックスに落ちた子がAZに行くと言われていたが、今は選手の個性によってクラブを選ぶ、もしくはクラブがカラーに合った選手を選ぶ時代になったと言えるのかもしれない。

 練習施設内にあるミニスタジアムのメインスタンドの収容人員は280人。それでも立ち見客を含めると、ヨングAZの試合はだいたい600人前後のお客で賑わっている。

3人中2人は家族つながり。気になるヨングAZの観客層

 8月10日、そのエールステディビジ(オランダ2部)開幕節のヨングAZ対アイントホーフェン(0-1)のキックオフ前、ピッチと客席を隔てる柵に寄りかかりながらビールを片手に談笑するファンに声をかけてみた。

 「実は、私の娘がヨングAZの選手と付き合っているんです。言うなれば義理の息子です。彼は年代別オランダ代表常連のタレントで、AZのトップチームに間違いなく上がる選手。今日はケガでメンバー外ですが、私自身、彼のチームメイトを何人か知ってますし、サッカー観戦そのものが好きですから今日も見に来ました。私自身、この施設の近所に住んでおり、ここは地域の社交の場でもあります」

――AZ育成成功の秘密は?

 「この地域(アムステルダム近郊、アルクマール)にはアマチュアのサッカークラブがたくさんあるから、スカウトが優秀なら、良い選手をたくさんピックアップできる。最初は体験として週2回程度、トレーニングに参加してみる。その中ですごくうまい選手には向こう(AZ)からオファーが来るんです」

――この地域はアヤックスと競合しますが?

 「もちろんアヤックスの育成も素晴らしいかもしれませんが、今は AZ の方が良いアカデミーを持っているのかもしれません。私の義理の息子や仲間たちもアヤックスを選ぶこともできましたが、彼らはAZを選びました。君の言いたいこともわかりますよ。確かにアヤックスという名前の方が大きい。だけど多くの子にとってAZのほうがいいんです。なぜならトップチームへの最後のスタップに到達した時、AZのほうがチャンスは大きいですからね。アヤックスだと同じポジションの選手を買ってきてしまう。でもAZならいい選手ならほぼ必ず、エールディビジという最高峰のレベルでプレーする可能性があるんです」

 観客席に座る男性に「あなたは年に何回、このスタジアムに来るんですか?」と訊いてみたところ「年に1回だけなんだ」という答えが返ってきた。

 「なぜなら俺たちはアイントホーフェンから来たサポーターだからね。見て(と言ってメンバー表の②タイレセ・シモンスを指さす)。私たちは彼の親なんだ(笑)」

タイレセ・シモンス

――まさか、あのチャビ・シモンスとの縁が息子さんにはあるんですか?

……

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Profile

中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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