REGULAR

38人で繰り広げられる熾烈な競争。柏レイソルが網走キャンプで培ったのはシーズンを戦う原則の徹底

2026.07.23

太陽黄焔章 第37回

改めてJリーグの頂を目指す戦いが幕を開ける。昨季はその攻撃的なスタイルで、多くの称賛を集めた柏レイソルは、網走キャンプから2026/27シーズンを走り抜くベース構築に取り組んできた。今季は38人の精鋭が揃い、期待の新戦力も加わったことで、ポジション争いも激化。早々にゲーム形式のトレーニングが実施されるなど、リカルド・ロドリゲス監督は急ピッチで完成度を高めている。

すぐに始まったゲーム形式のトレーニング。共有されるレイソルの原則

 北海道・網走で行われた柏レイソルのキャンプは、これまでとは若干異なる空気に包まれていた。

 始動直後のチームが最初に取り組むものといえば、まずはコンディション調整である。段階を踏んで強度を上げ、フィジカルコンディションを上げながら、そこにボールを使ったトレーニングを取り入れ、徐々に練習メニューが本格化していく。 だがリカルド・ロドリゲス監督は、網走キャンプ初日からゲーム形式のメニューを多く取り入れていたのである。

 これについては、7月4日の始動日の会見で、リカルド監督がオフシーズンの捉え方に言及している。

 「オフシーズンには休むことも重要です。しかし今回のプレシーズンは4週間しかありません。そしてその後には過密スケジュールが始まります。それを考慮した形で、オフシーズンは体も心もしっかり休んでほしいという希望を選手たちに伝えました。同時に、プレシーズンの初日からより良い形でチームトレーニングができるように、オフの間もしっかりと体を動かすためのメニューを配っていました。そしてプレシーズンにおいては、チームの完成度をさらに高めることが重要です」

 キャンプ中、古賀太陽は「高い強度の中で戦術的な部分を落とし込む時間になっています」と言った。

 今回の網走キャンプでは、公開練習が3日間ほどあった。その公開練習時のメニューではハーフコートゲームを行い、リカルド監督がその都度、選手たちに細かなことを要求していく。

 「特に新加入の選手はよく聞いてくれ!」

 戦術家であり、モチベーターでもある、その二面性を携えた指揮官は、立ち位置、守備の追い込み方、あるいはゴール前の人数のかけ方まで、熱のこもった指導でチームが共有すべき原則を繰り返し伝えていた。

リカルド・ロドリゲス監督

今季の編成は「穴のないチーム」(リカルド監督)

 今季の柏は、J1リーグ、天皇杯、ルヴァンカップ、そしてAFCチャンピオンズリーグエリートに出場する。最大で62試合を超える過密日程。百年構想リーグでは負傷者や体調不良者が相次ぎ、限られた選手で戦わざるを得ない時期があった。その反省も踏まえ、クラブは各ポジションに複数の選択肢を用意した。

 布部陽功フットボールダイレクターが新シーズンのテーマとして掲げたのは“競争”である。熾烈な競争が選手を成長させ、競争が組織を強くする。その循環によって、国内だけではなくアジアでも戦えるクラブを作る。新戦力の獲得は、単に過密日程を乗り切るための頭数を増やす作業ではない。

 新戦力は6名。FC東京から遠藤渓太、ガンバ大阪から満田誠、京都サンガF.C.から麻田将吾、ジェフユナイテッド千葉から若原智哉、サガン鳥栖から弓場堅真、そして九州産業大学から加入のルーキー・岩永創太。こうした顔ぶれだ。

 リカルド監督は、今季の編成を「穴のないチーム」と表現する。各ポジションに拮抗したレベルの選手が揃い、対戦相手の特長や選手の状態に応じて起用法を変えられる。誰か一人の出来によって、チーム全体のパフォーマンスが大きく上下する状況から脱すること。それが長いシーズンを戦い抜くための前提となる。

 クラブが設計した競争は、網走のピッチですでに形となって表れていた。

……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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