選手補強に滲む明確な方向性。柏レイソルが見据える「面白いチーム」から「勝負強いチーム」への変貌
太陽黄焔章 第32回
昨シーズンの柏レイソルがJ1の舞台で披露した躍進は、他クラブのサポーターからも大きな称賛を集めたことに疑いの余地はない。ただ、あと一歩まで迫ったタイトル獲得に至らなかったことも、事実として残っている。明確な結果を目指す2026-27シーズン。リカルドサッカーをさらに推し進めるための新たなピースも加わり、戦力の底上げも期待される今季のチームを、おなじみの鈴木潤がキャンプ情報も交えて展望する。
指揮官も納得の補強。加わった7人の新戦力
昨季リーグ2位、YBCルヴァンカップ準優勝と、あと一歩タイトルには手が届かなかった。しかし昨季の柏レイソルがJリーグに強烈なインパクトを与えたことは間違いない。フィジカル要素を前面に押し出した強度の高いスタイルが主流の昨今において、柏は徹底したポジショナルプレーでボールを保持しながら敵陣へと攻め込み、複数人が連動した攻撃を奏でて相手の守備網を切り崩す。
ボールがピッチを滑るたびに、各選手の立ち位置が入れ替わり、角度が生まれ、数的優位が描かれていく。選手一人ひとりが相手の動きを見極めて、フレキシブルにポジションを取る姿は一見カオスに見えて、組織性を絶対に損なわない。構造で相手を凌駕する柏のサッカーは一過性のトレンドではなく、シーズンを通して安定した結果を残したことで、確かな「再現性」を証明した。
迎えた2026年シーズンは、その完成度をさらに高めるための補強が行われた。新戦力として加わったのは、ヴィッセル神戸から汰木康也、浦和レッズから大久保智明、川崎フロンターレから山内日向汰、そしてヴァンフォーレ甲府からレンタルバックの土屋巧と、山之内佑成、島野怜、角田惠風の大卒ルーキー3名だ。
昨季同様、リカルド・ロドリゲス監督と強化部が入念に協議を重ねて獲得に至った選手たちである。
「新戦力の獲得にはとても満足している。我々のスタイルに適した選手たちを獲得できた。彼らは特に攻撃の部分でプラスアルファをもたらしてくれるだろう」
そう語る指揮官も納得の補強となった。
汰木康太と大久保智明の“チルドレン”、川崎育ちの山内日向汰
その中で、まず目を引くのが汰木と大久保だろう。
二人は、浦和でリカルド監督のもとでプレーをした経験を持つ、いわば“チルドレン”である。昨季の柏で出色の働きを見せた小泉佳穂をはじめ、垣田裕暉、渡井理己ら、“リカルド・チルドレン”の活躍を見れば、ドリブルという明確な武器を持つ上に、ポジショナルプレーの原理原則を身体で理解している汰木と大久保の柏での活躍は、十分に期待ができる。
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Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。
