J1復帰へ向けた1年半の成長プラン。「サガン鳥栖のフットボールでプレーしたい」という選手を獲得する補強戦略
プロビンチャの息吹~サガンリポート~ 第23回
小菊昭雄監督体制の初年度となった2025シーズンのサガン鳥栖は、J2で8位という結果に。プレーオフ進出も逃し、1年でのJ1復帰は叶わなかった。だが、ここからの1年半は百年構想リーグを含めて、チームを再構築する貴重な時間。指揮官のイメージするスタイルに共感した選手たちが集い、改めて内容と結果の“二兎”を追い求めていく。
13人の新加入選手。積極的に動いたオフシーズンの補強戦略
J2優勝と1年でのJ1復帰。その目標を掲げて戦った2025シーズンのサガン鳥栖の戦いは8位でフィニッシュ。優勝はおろかシーズンをとおして自動昇格圏内の2位に入ることはできずに、J1昇格プレーオフ圏内にも届かなかった。掲げた目標からすれば失意のシーズンとなったが、“再起”のために鳥栖はオフシーズンで積極的に動いた。
秋春制への移行に伴い、26-27シーズンの前に百年構想リーグが約半年間にわたって行われる。昇降格がないレギュレーションの影響もあってか、全体的に移籍市場の動きは物静かだったが、鳥栖は13人もの選手が新たに加わった。鳥栖U-18からの昇格が3人含まれているが、他クラブからの移籍だけでも2ケタとなる10人が加わっており、リーグ全体を見ても大幅な選手の入れ替えを断行した。
「私たちはここ数年、J1から(選手を)狙われることはある程度想定していましたし、そういう意味では昨年ほどではないですが、入れ替わりもある程度あることも想定していました」
このオフの選手編成について小菊昭雄監督はこう振り返った。昨季は小菊監督がセレッソ大阪の監督を務めていたこともあり、選手編成に大きく関わり切れなかった。また、チームもJ1からJ2への降格というタイミングでチームを離れる選手も多く、新監督にとっては編成においてディスアドバンテージを負わされた面は否めず、その点も少なからずシーズンのスタートダッシュの失敗に影響を与えた。もともと、C大阪ではスカウトなど強化部での経験もある小菊監督はオフに入る前、補強戦略についてこう語っていた。
「私の場合は強化部を経験したからこそ、選手を直接、口説きに行ったりとかZoomでミーティングに参加したりとかしたいなとは思っています。選手というのは(移籍するにあたって)監督のサッカー観を聞きたいものなんじゃないかなと思っているんですよね。そこは直接会えるのであれば会いに行きますし、それがZoomであればそれでも参加したいと思っているタイプです。
監督としてもそれが勉強にもなりますし、なかなか普段はほかのクラブのフットボールのことや練習内容を聞くことができないじゃないですか。監督力や人間力を高める貴重な場だと思っていますので、強化部と一緒になって選手の獲得もやっていきたいですし、一緒になってクラブを作っていきたい」
自身の出馬も厭わない姿勢で、強化部と密なコミュニケーションを取りながら積極的に編成に関わり、自らのサッカースタイルをより高みへと進めるために、適材と言える選手たちを獲得していった。そういった意味では、2年目にして本当の意味で指揮官の目指すサッカーに沿う形での補強が叶ったと言えるだろう。だからこそ、大幅な選手の入れ替えになったのだった。

新戦力の獲得ポイントはスタイルへの共感
では、どんなことをポイントにして指揮官は強化部とともに選手獲得を行ったのだろうか。
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Profile
杉山 文宣
福岡県生まれ。大学卒業後、フリーランスとしての活動を開始。2008年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』でジェフ千葉、ジュビロ磐田、栃木SC、横浜FC、アビスパ福岡の担当を歴任し、現在はサガン鳥栖とV・ファーレン長崎を担当。Jリーグを中心に取材活動を行っている。
