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北中米W杯初戦の相手、オランダ代表は[3-4-2-1]が苦手?アヤックス主将との質疑応答から探る日本の勝機

2025.12.30

VIER-DRIE-DRIE~現場で感じるオランダサッカー~#23

エールディビジの3強から中小クラブに下部リーグ、育成年代、さらには“オランイェ”まで。どんな試合でも楽しむ現地ファンの姿に感銘を受け、25年以上にわたって精力的に取材を続ける現場から中田徹氏がオランダサッカーの旬をお届けする。

第23回で取り上げるのは、北中米W杯のグループF初戦で日本と対戦するオランダ代表について。現地でも注目を集めたアヤックス主将との質疑応答から探る、日本の勝機とは?

 まずはオランダ代表の話をする前に、当連載の前回「ヘンダーソンの後継者不在に苦しむアヤックス。CL最下位脱出のヒントは板倉滉にあり?」で記したアヤックスのサッカーについておさらいしたい。

 新進気鋭のイタリア人指導者、フランチェスコ・ファリオーリ(現ポルト監督)によって昨季、長い眠りから目を覚ましたアヤックスはエールディビジで2位に躍進。今季のCL出場圏を勝ち取った。しかし、そのサッカーは守備にアクセントを置いたもの。ファリオーリは伝統の[4-3-3]を採用したものの、自陣に撤退した時には[5-4-1]で堅いブロックを作った。

 しかし「攻撃サッカーの国・オランダ」の中でも、名門アヤックスは“超”のつく攻撃サッカーがトレードマーク。今季のアヤックスは生え抜き、ジョン・ハイティンハ監督の下、試合を支配するサッカーへの回帰を図った。

 だが、これは失敗。オランダリーグでは勝ち点を取りこぼし続け、CLでは連敗地獄に陥った。ハイティンハは更迭され、フリッド・フリムが暫定監督の肩書きで采配を振ることになっている。11月25日のCL、ベンフィカ戦でフリムは日本代表DF板倉滉をアンカーに置く新布陣を採用。今後、アヤックスはファリオーリ時代のように[4-3-3]と[5-4-1]を併用する可能性がある――。

 原稿を執筆してから1カ月、筆者の読みは当たった。自陣撤退時にローブロックを敷くアヤックスは守備が安定し、公式戦5連勝(リーグ戦3勝、CL&国内カップ戦1勝ずつ)を記録した。この間、アヤックスはリーグ戦の順位を6位から一気に3位まで上げている。

プレミアリーグ勢が3人→17人に!オランダ代表の勢力図

 アヤックスが5連勝を記録したのは12月14日、フェイエノールトを2-0で下したダービーだった。試合後の記者会見で、私はMFデイビー・クラーセン主将に質問した。

――デイビー、ちょっと次の試合、NEC戦についてうかがってもいいかな?アヤックスは[5-4-1]でローブロックを敷きますよね?

 「ああ、その通り」

――これはNECのシステム([3-4-2-1])への対策として良いと思うんですよね。

 「それって、僕たちにベタ引きしろってこと?」

――いいえ、そうではなくNECは攻撃の最終局面で5トップになりますよね?

 「(質問の途中で、筆者の意図を理解した表情を浮かべながら)そう、その通り。NECは多くのアタッカーが攻撃を仕掛けてくる。しかし今日のフェイエノールトも3トップに加えて、MF2人が前線に絡むことで、ものすごく攻撃的だった。僕たちはそれをしっかり抑えることができたけれど、確かに君の言う通り、[5-4-1](への可変)はNECに対する解決策になるかもしれない」

――そこでオランイェ(オランダ代表の愛称)です。

 「オランイェ!?」

――はい。5バックの国に対してオランダは脆い。例えばポーランド戦。

 「(うなずいてから)代表監督に電話して伝えないと!(笑)」

宿敵フェイエノールトとの“デ・クラシケル”を前に記念撮影するクラーセン。13分に奪った先制弾が決勝点となった

 ここから本題に進む。

……

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Profile

中田 徹

メキシコW杯のブラジル対フランスを超える試合を見たい、ボンボネーラの興奮を超える現場へ行きたい……。その気持ちが観戦、取材のモチベーション。どんな試合でも楽しそうにサッカーを見るオランダ人の姿に啓発され、中小クラブの取材にも力を注いでいる。

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