サッカーを笑え #48
4季ぶりにCLの舞台に立つビジャレアルの今夏5人目の新戦力は、中盤の要となり得る32歳のトーマス・パーティ。6季ぶりのリーガ復帰となるガーナ代表MFの獲得は、スペインでも議論の的になっている。
アーセナルのトーマス支持と退団の背景
ビジャレアルがトーマス・パーティを獲得したことが物議を醸している。
獲得の噂が出ると“No a Thomas Partey”(トーマス・パーティにノーを)なんてキャンペーンがファンの間で広がり、親善試合では地元の観客からブーイングを浴びせられていた。マルセリーノ監督は不動の[4‐4‐2]の中盤底でパレホとコンビを組ませるはずで、8月15日の開幕戦でリーガデビューもあるとみる。ホームのファンのリアクションにまずは注目だ。
本来、昨季アーセナルで50試合超に出場した実力者を自由契約でタダで手に入れたのは素晴らしいマネージメントのはずなのだが、そうとも言い切れない。なぜなら、トーマスは性犯罪の被告人であるからだ。2021~22年に複数回の性加害を行ったと3人の女性に告発され、22年7月に逮捕されている。
Happy birthday, Thomas 🎈 pic.twitter.com/h6TUaAmnkE
— Arsenal (@Arsenal) June 13, 2025
そもそも、トーマスが逮捕されていたことをあなたは知っていただろうか?
恥ずかしながら私は知らなかった。というのも、イギリスでは逮捕者が正当に裁かれる権利を守るために公表されない場合があるからだ。なので、この22年7月の逮捕の情報も警察からのオフィシャルな情報ではなくメディアの独自取材によるもの。逮捕後に勾留されず即釈放されていたため選手生活には支障がなかった。アーセナル側にはもちろん逮捕の事実は知らされていたが、本人が全面否定していることと、当時は起訴もされておらず不起訴に終わる可能性もあったこと、警察からは海外出張も禁止されなかった、ということでトーマスは普通に選手生活を継続した。
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。
