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高橋大輔と才野倭。“チーム小菊”を支える2人のコーチがサガン鳥栖にやってきた意味

2025.02.11

プロビンチャの息吹~サガンリポート~ 第12回

今シーズンからサガン鳥栖を率いている小菊昭雄監督は、昨季まで在籍していたセレッソ大阪から2人の“腹心”を連れてきた。高橋大輔コーチと才野倭アシスタントコーチ。それぞれがそれぞれの形で指揮官への縁を感じ、感謝の念を抱いているだけに、“チーム小菊”の結束はとにかく固い。今回は彼らが鳥栖へとやってきた意味を、おなじみの杉山文宣が解き明かす。

「太陽みたいな存在」の小菊監督を支える参謀、高橋大輔コーチ

 13年ぶりにJ2の舞台を戦うサガン鳥栖。1年でのJ1返り咲きを期す今季、チームの指揮を執るのは昨季までセレッソ大阪で指揮を執っていた小菊昭雄だ。強度と規律を重んじる指揮官の下、チームは沖縄キャンプで指揮官の求める基準への到達と戦術理解に励んだ。

 そんなチーム練習のなかで指揮官の意図を理解し、選手たちに落とし込んでいるのが高橋大輔コーチと才野倭アシスタントコーチの2人。いずれも昨季まで小菊監督の下、C大阪でコーチを務めていた人物だ。ともに小菊監督に誘われる形でC大阪から鳥栖へとやってきた。

 特に練習で全体への指示を出すことが多いのは高橋だ。ヘッドコーチは昨季、シーズン途中から監督を務めた木谷公亮が務めているが、指揮官の戦術を理解しているという意味では当然のことながら高橋のほうに一日の長がある。

 高橋コーチと小菊監督の付き合いは長い。C大阪では選手とコーチの間柄、トップチームでのコーチ同士、そして昨季までの3年間は監督とコーチという間柄で戦ってきた。そんな小菊監督のことを高橋は「太陽みたいな存在」と表現する。

 「あの人柄とかエネルギー、みんなを明るくして、常に愛情を注ぐ、太陽みたいな存在なので。そういう意味では、僕自身は常にこの人のために自分のできることを精一杯やりたいなと思っていますし、監督の下でスタッフも選手も輝いてほしいというのが大前提としてあります」

高橋コーチ(Photo: Yasunobu Sugiyama)

“ほぼ郷土”で働ける幸せ。指揮官を男にするミッションと向き合う

 指揮官への強い恩義があるからこそ、鳥栖に誘われた際には二つ返事でついていくことを決断した。高橋自身、母校である福岡大学のコーチ経験はあるが、プロでは初めてC大阪以外で指導者としての職を務めることになる。環境が変わることでの刺激を感じているようだった。

 「いろいろとC大阪で経験させてもらったことをオフシーズンで整理しながら、ただ、新しい環境に入るということでクリアにする部分、継続する部分を棲み分けました。いまの流れとしては、すごく順調にチームに対していい関わり方で、スムーズに入れているのかなと思っています」

 ただ、環境が変わることで適応しなければいけないところが生まれるのは必然のこと。高橋はそこへの意識も怠っていなかった。……

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Profile

杉山 文宣

福岡県生まれ。大学卒業後、フリーランスとしての活動を開始。2008年からサッカー専門新聞『EL GOLAZO』でジェフ千葉、ジュビロ磐田、栃木SC、横浜FC、アビスパ福岡の担当を歴任し、現在はサガン鳥栖とV・ファーレン長崎を担当。Jリーグを中心に取材活動を行っている。

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