サッカーを笑え #14
2-2の第1レグを経た5月8日の決戦は、88分から3分間の2ゴールで2-1の逆転勝ち。どこからどこまでがレアル・マドリーの「伝統の強さ」なのだろうか。これぞ“ベルナベウ劇場”という結末、スペイン王者が2年ぶり15度目のCL制覇に王手をかけた準決勝バイエルン戦を振り返る。
レアル・マドリーのCLでの強さというのはすでに既成事実化しているが、それに加えて「サンティアゴ・ベルナベウには魔物が棲んでいる」と言われる日も遠くないだろう。
同点ゴールの3分後に決勝ゴールを挙げる強さは、伝統の強さ、と言っていい。CLでは負けない、という信じる心はプレッシャーのかかる土壇場や逆境で、対照的に委縮した相手を飲み込む力となるのだろう。同点ゴールは88分で終了寸前だったが、延長戦を待つことなく91分に逆転、バイエルンから反撃の余地を奪ってしまった。ELでは負けないセビージャでもよく見た、逆境を跳ね返し優位に立つと畳みかける強さである。
あの光の速さのホセルの詰め方はまさしくレアル・マドリーの伝統
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Profile
木村 浩嗣
編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。