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時間稼ぎも万策が尽き…バルトメウ、バルセロナ会長を電撃辞任

2020.10.29

 バルセロナのバルトメウ会長が10月27日に辞任したことは、日本にも伝わっているだろう。問題は、その前日26日に「辞任の意志はまったくない」と言っていたのに、なぜ24時間後に180度、考えを変えたのか? という点だ。

「ソシオの健康を守るため」?

 この裏には、11月1日、2日に予定されていた不信任投票の延期を申し入れたが、カタルーニャ州政府に認められなかったことがある。

 バルトメウ側の言い分は、感染が拡大する現状では「投票者の健康を保証できない」という点にあった。

 これも日本にニュースとして伝わっているかもしれない が、スペインでは10月25日から非常事態宣言が発令されており、バルセロナのあるカタルーニャ州も、10万人あたりの直近1週間の新規感染者数が223.61人と、東京の30倍近い数値となっている。

 だが、ビッグイベントの開催の是非を決める州政府の返答は、投票会場をカタルーニャ州の数カ所の他、スペイン全土の主要都市に分散させる条件付きで「開催OK」、否、「開催しなければならない」だった。

 この答えにバルトメウ会長は「投票者の健康を保証できない」という言い分を貫き、辞任を決めたのだった。

 が、この健康うんぬんは表向きの理由。裏の理由は、前回の記事でお伝えした通り、不信任投票を遅らせて時間を稼ぐための “万策が尽きた”というところだろう。

 投票が実施されれば不信任は必至とされていた。“クラブ史上初のソシオに解任された会長”という不名誉よりも、“ソシオの健康を守るために自らのポストを捧げた会長”の方が、響きが良いのは明らかだ。

相次ぐ騒動で鎮火不能に

 バルトメウの周囲ではあちこちから火の手が上がり、消火不可能になっていた。

 記憶に新しい、移籍をめぐるメッシとの対立の他、SNSのモニタリング機関を使ってメッシやピケへの批判を煽っていた問題(いわゆる“バルサゲート”は今も捜査中)、それによる理事の大量辞任、コロナ禍での選手の年俸カット問題(現在も交渉中)、昨季の収支が大赤字となり来季の予算が立たない問題、延期されたソシオ総会の開催問題、それらをすべて集約した形での不信任決議……。

 2014年1月、サンドロ・ロセイ前会長の辞任を経て会長に就任した。以来、勝ち取った13タイトル(リーガ4、コパ・デルレイ4、スペインスーパーカップ2、UEFAチャンピオンズリーグ1、UEFAスーパーカップ1、クラブW杯1)は前任者のロセイやラポルタを上回る。だが、そのうち8つは就任3年目の15-16シーズンまでに獲得したもので、それ以降は急速に尻すぼみになっていた。

 タタ・マルティーノ以下、クーマンまで5人の監督が彼の下で働き、目まぐるしく交代したスポーツディレクターは名前を挙げるのも困難なほど。この辞任によって、メッシ残留の可能性が高まった、という肯定的な声がバルセロナファンからも上がっている。


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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