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嫌われ者の時代は終わった?RBライプツィヒが人気者になる時

2019.12.25

2019-20シーズンの前期を首位で折り返し、“秋の王者”となったRBライプツィヒ。これまで『レッドブル』の巨大資本による成金クラブの象徴として“嫌われ者”だったが、ドイツ国内での認識も徐々に変わりつつあるようだ。今シーズンここまでリーグ最多得点を誇るRBライプツィヒの人気は上昇し続けている。12月18日の『シュポルト・ビルト』が、伝えている。

“チームの顔”ナーゲルスマン監督の貢献

同誌によると、アンケート調査の結果、ライプツィヒの“ファン”を自称する人々はおよそ100万から200万人おり、“好意を寄せている”とする人々は400万から600万人ほどいる。これはブンデスリーガでもトップ5に入る好感度だと紹介している。

この変化について、RBライプツィヒのCEOを務めるオリヴァー・ミンツラフは、今シーズンから監督に就任したユリアン・ナーゲルスマンの存在が大きいと分析する。

「我われの若いチームにアイデンティティを重ね合わせる人々は年々増えている。今シーズンは、さらにひと回り大きな成長を見せている。これには、ユリアン・ナーゲルスマンがやって来たことで、チームを取り巻く周辺全体が大きく盛り上がったことも関係している」

サウサンプトンのハーゼンヒュットル監督が説明するように、プロサッカークラブの監督はまさに“チームの顔”だ。ブンデスリーガ最年少監督ながらすでに現在のドイツ屈指の指揮官という評価を獲得し、魅力的なサッカーで結果を出す。その一方で、ユーモアを交えながらクールにメディア対応する姿は、まさにRBライプツィヒの「クラブのブランドと哲学に対する責任を背負い、それを外に向かって発信」する存在として、理想的に機能している。

1990年代の保守的なドイツサッカー界に“理論家”として登場し、敵を作ることも多かった前任者ラルフ・ラングニックのメディア露出を減らし、好感度の高いナーゲルスマンやディエゴ・デンメのような選手を全面に押し出す方針が功を奏しているようだ。

2019年の収益は360億円超え

UEFAチャンピオンズリーグへの出場で約6000万ユーロ(約72億円)を手にし、テレビ放映権料の分配額もリーグ4番目にまで上昇、7600万ユーロ(約91億2000万円)を受け取ることが確実だ。ソーシャルメディアのフォロワー数も右肩上がりで、この1年でほぼ2倍にまで増加したという。

コンスタントな成功を収めることでクラブの収益も安定し、ブンデスリーガ上位に食い込むほどになった。収益に関しては、1位バイエルン・ミュンヘンの6億5700万ユーロ(約790億円)、2位ドルトムントの4億9000万ユーロ(約600億円)に次ぐ3番手となる300万ユーロ(約360億円)が計算できるほど。これまでドイツ国内でCLの常連として名を馳せてきたレバークーゼンの2億1000万ユーロ(約252億円)を大きく上回る金額だ。

ミンツラフCEOは「我われがドイツのトップ4であるという認識も定着してきていると思う」と話す。若手選手の獲得競争でも、欧州トップの名声を誇るドルトムントと比較しても遜色ないという。「若手選手にとっての魅力という点でも、どこにも遠慮する必要はない。もちろん、ドルトムントが相手でもね」

現在はザルツブルクのノルウェー代表アーウィン・ハーランドの獲得競争に注目が集まっているが、『シュポルト・ビルト』はローマからレンタル中のチェコ代表FWパトリック・シックに対し、ライプツィヒがクラブ史上最高額となる3000万ユーロ(約36億円)の買い取りオプションを付けていることに注目しているようだ。

明確なコンセプトの下、チームの成績面だけでなく、クラブとしてのブランディングと経営・営業面でも成功を収めているRBライプツィヒ。今後もドイツ国内での存在感は大きくなり続けていきそうだ。


Photo: Getty Images

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RBライプツィヒユリアン・ナーゲルスマン

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。