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PSGは「襟つき」リバイバル特別ジャージも楽しみたいのがCL

2019.10.01

パリ・サンジェルマンのアンヘル・ディ・マリア

30年の時を越えて

 9月17日に開幕したCLの初戦でレアル・マドリーに3-0で勝利、快調なスタートを切ったパリ・サンジェルマン。

 この試合でのPSG陣の戦いぶりもさることながら、日頃からユニフォームに興味のある人ならきっと気になったであろうと思うのは、彼らが身につけていたCL用のサードジャージ。最近では珍しくなった、ポロシャツ風の襟つきデザインなのだ。

 これは、キットスポンサーのナイキが今年で30周年を迎えたPSGとのパートナーシップを記念して、1989-90シーズンのデザインにオマージュを捧げたもの。胸のスポンサーロゴやエンブレムのデザインは違うが、白地のシャツの左側に赤とブルーのラインが入ったデザインは、30年前のものをリメイクしている。

下の2つがPSGの30年前と今季のジャージ

 襟なしシャツが主流になった昨今では、かえって目新しくて斬新だ。クラシックでなかなかかっこいい。選手たちも心なしかお坊ちゃん風に見える。

ホームタウンにスタジアム、スポンサーまで

 PSGだけでなく、サードジャージには各クラブとも遊びゴコロや裏メッセージを込めているんだそうだ。

 同じくリーグ1から出場しているリールは、左胸のエンブレムの五角形が広がっていく感じの、ちょっと蜘蛛の巣チックなデザイン。これはリールの城塞をモチーフにしたもの。17世紀に造られたリール市の城壁は航空写真で見るときれいな五角形をしていて、クラブのエンブレムもこの形を象徴している。サードジャージでは白地のシャツにくっきり五角形が描かれていて、かなり個性的なデザインになっている。

リールのサードジャージ

 街の象徴をモチーフに使うのはよくある例で、黒字にペパーミントグリーンの柄が散りばめられたリバプールのサードジャージの配色は、街のシンボルである鳥「ライバー・バード」を連想させるものだ。

リバプールの中心部に位置するロイヤルリバービルディングから街を見守る2羽のライバーバード
今季のリバプールのサードジャージと、配色のモチーフとなったロイヤルリバービルディングのライバーバード

 PSGと同じくナイキ製のバルセロナのサードジャージは、やはりクラシック志向なデザインになっているが、地模様に埋め込まれているのはバルセロナ市の紋章だ。

バルセロナのサードジャージに袖を通すピケ

 一方で、ホームスタジアムのイメージをシャツに表現したというものはファーストジャージに多い。一番わかりやすいのはバイエルン。アリアンツ・アレナの外壁のボコボコ柄を、赤字のシャツの地模様にプリントしている。

バイエルンの今季のニューファーストキットとニューフェイス

 チェルシーのブルーのシャツの地模様も、スタンフォードブリッジのスタンドの様子を描いてあるそうだ。

チェルシーのファーストジャージ

 また、トッテナムの場合は鮮やかなブルーのサードジャージが新装したホワイトハートレーンのイメージを表現したものということらしいが、新装開店後の新スタジアムにまだ行っていないのでちょっとピンとこない。今度現地で確認してみたいと思う。

前回のGS第1節でお披露目されたトッテナムのサードジャージ

 番外編としては、インテルの漆黒のシックなサードジャージは、スポンサーであるタイヤメーカー、ピレリのイメージを押し出してモータースポーツの世界を表現したものらしい。ちょっとピレリの制服みたいな感じもするが……。

インテルのサードジャージ

 そんなジャージのメッセージにも注目しつつ、今シーズンのCLも楽しんでいきたいと思う。


Photos: Nurphoto/Getty Images, Getty Images

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パリ・サンジェルマンビジネス文化

Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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