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残った者、新たにやってきた者。リーグ1のメルカート最終日まとめ

2019.09.05

ネイマールは残り、イカルディがやってきた

 リーグ1のメルカートが、9月2日をもって閉幕した。

 今夏、メディアを騒がせたパリ・サンジェルマンのネイマールは、結局移籍交渉がまとまらずに残留が決定。本人はこの最終日を、ブラジル代表の合宿地であるアメリカ、マイアミで過ごしていた。

 その頃、PSGが奔走していたのは別の案件で、インテル所属のアルゼンチン人FWマウロ・イカルディの買取りオプション付きレンタル移籍が、締め切り1時間前にまとまった。

 イカルディはインテルでの6シーズンでセリエAの219試合に出場し、124ゴール、28アシスト。2017-18シーズンのベストアタッカーに選出され、そのシーズンと2014-15シーズンには、それぞれ29点、22点で得点王(同数タイ)にも輝いている。

 インテルはこの夏、マンチェスター・ユナイテッドからロメル・ルカクを獲得した。6年を経て、この機会に新たな環境へと挑戦する気になったのだろう。

「参戦するすべてのコンペティションでできる限り上を目指すべく、PSGで全力を尽くすつもりだ」

 イカルディはそう意気込みを語っている。

 ちなみにイタリアメディアの報道では、報酬もグーンとアップして、推定年800万ユーロ+ボーナス200万ユーロ、しめて1000万ユーロ(約12億円)の大台に乗ったらしい。

 PSGはこのほか、懸案だったGKのポジションに、レアル・マドリーからコスタリカ代表のケイロル・ナバスを獲得した。ナバスといえば準々決勝に到達した、2014年のワールドカップでのパフォーマンスが印象的だ。PSGは代わりに、アルフォンス・アレオラをレアルにレンタルに出した。ということで、今季、第1GKとしてPSGのゴールを守るのはナバス、ということになる。

リヨンはブラジル路線、モナコからはあの男が去る

 リヨンは、ブラジルはフラメンゴから21歳のMFジャン・ルーカスと、リールから同じくブラジル人のMFチアゴ・メンデスを獲得した。

 栄光の7連覇の立役者でありクラブのレジェンド、ジュニーニョ・ペルナンブカーノがテクニカル・ダイレクターとしてクラブに復帰、同胞のブラジル人監督シウビーニョを迎え、これまで以上にブラジル色が濃くなってきたリヨン。これまで数年間、エースとしてチームを支えてきたナビル・フェキルをレアル・ベティスに、将来フランス代表の中盤を担うと期待されるタンギ・エンドンベレもトッテナムに手放し、今季のリヨンは新章に突入した感じだ。

 個人的には、“ファルカオ先輩”がモナコから去ったのは寂しい。

 ラダメル・ファルカオの契約は、今年、最終年を迎えていたのだが、クラブと延長交渉がまとまらず、「この年になると、自分のキャリアだけを考えてはいられない。家族に安住できる環境を与えてやることも必要だ。そのためには次のステップも考えないと……」と本人も話していた。行き先はトルコのガラタサライ、長友佑都のチームメイトになる。

モナコでキャプテンを務めるなど周囲から尊敬されたファルカオはトルコへ

 ファルカオは側から見ていても、本当に尊敬できる選手だった。

 メディアへの対応もいつも誠実だし、クラブが厳しい状況にあるときにでも、常に真摯に取り組んで、若手の見本になるよう努めていた。

 そんな彼だから、どこへ行ってもきっとみんなに愛されるだろう。

 またモナコは、右SBジブリル・シディベもエバートンにレンタルに出した。これで2017年の優勝メンバーはGKスバシッチやDFグリクら、ほんの少数になってしまった。一方でMFティエムエ・バカヨコは、チェルシーから出戻ったが。

 そしてマルセイユを引っ張ってきたブラジル人MFルイス・グスタボもトルコのフェネルバフチェへ。

マルセイユを引っ張ってきたL・グスタボも、ファルカオを追うようにトルコへ

 グスタボは昨年の夏も移籍を嘆願していたのに、叶わなかった。そんな昨シーズンはやっぱり、パフォーマンスにも乗り切れないところがあったから、クラブ側も彼の意思を尊重しないわけにはいかなかった模様。一昨シーズンは、DFメンバーにけが人が相次ぐ中、中盤からセンターバックと、三十路の体が悲鳴をあげるまでフル回転していたから、あのシーズンで、マルセイユでは出し切った、という気持ちになったとしても不思議ではない。

リーグ1に帰ってきたコシェルニー

 ……と、離脱の話題ばかりが大きくなりがちなリーグ1だが、元フランス代表の闘魂あふれるセンターバック、ローラン・コシエルニーが母国リーグに復帰し、さっそくボルドーで気を吐いている。

 第2節から3試合連続でフル出場、第4節のリヨン戦では、敵陣で価値あるドローをもぎとった。

 その他、PSGから、やる気にあふれた20歳の若手DFスタンリー・エンソキを獲得したニースは、パトリック・ビエイラ監督の采配2年目でけっこう奮闘しそうな予感だ。「まずはディフェンスから」といった手堅いプレーで地道に勝ち点を取る彼らは、第4節では好調レンヌを敵陣で破っている。

 そのレンヌに第2節で敗れたものの、すぐに首位を奪回したPSGが、新たなストライカー、イカルディを加えてさらにパワーアップするのか。マイアミから帰ったあとのネイマールのやる気具合も合わせて、まだまだPSGは話題を提供してくれそうな感じだ。

Photos : Getty Images

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小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

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