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同じ街ではなくとも、ダービー。「ドンズ」の名を巡るライバル関係

2019.08.21

危険な香りが漂う「ドンズ・ダービー」

 8月14日に行われたリバプール対チェルシーのUEFAスーパーカップでは、MFジョルジーニョ(チェルシー)のユニフォームの名前の綴りが間違っていたことが話題になった。だがイングランドでは、その前日にも「名前」でひと悶着があった。

 その前日、13日のリーグカップ1回戦で、AFCウィンブルドンとMKドンズが対戦した。危険な香りが漂う“ドンズ・ダービー”(この呼び方自体に語弊があるのだが)である。ウィンブルドンFCが2002年にミルトンキーンズへ移転して「MKドンズ」に生まれ変わり、取り残されたファンたちによって設立されたのが「AFCウィンブルドン」なのだ。当然、両クラブは互いをライバル視しており、同じ街ではないものの対戦する際には“ダービー”と呼ばれることがある。

 2002年に新設されたAFCウィンブルドンは、9部からスタートして足掛け9年で4部まで昇格。そして2012年にFAカップで彼らの“ダービー”が初めて実現した。今季は互いに3部リーグに所属するため、2シーズンぶりにリーグ戦でも対戦することが決まっている。彼らは、これまでにも7回対戦してきた。しかしAFCウィンブルドン側は、一度たりとも相手のチーム名を認めようとしてこなかったのだ。

そのクラブ名は、認められない

 というのも、MKドンズの「ドンズ」は、前身クラブである「ウィンブルドンFC」の愛称からきている。そのためAFCウィンブルドンは、MKが「ドンズ」という名前を使用することに納得しておらず、過去の対戦ではスコアボードに「MK」とだけ記してきた。そしてマッチデープログラムにもMKドンズのチーム名を記載しなかったという。

 これにはフットボールリーグが黙っていなかった。「相手クラブに対して最大限の誠意を持って接する」という規定に反しているとして、AFCウィンブルドンを処分するとしたのだ。結局、両クラブが話し合うことで終局し、AFCウィンブルドンは「スコアボードやマッチデープログラムなどにMKドンズの名前を記載する」ことに合意した。これで一件落着……のはずだった。

 さて、今月13日の8度目の対戦がどうなったかと言うと、AFCウィンブルドンは公式マッチデープログラムを発行しなかった。「MKドンズ」を認めるくらいなら、と思ったのだろう。さらに、どういうわけか電光掲示板が機能しておらず、どちらのクラブ名も表示されなかった。数カ月前から電光掲示板は使われていなかったそうだが、偶然にしては出来過ぎている。これは“故意”と疑われても仕方ないだろう。

 試合はというと、PK戦の末にMKが勝利して2回戦にコマを進めた。今季は、このほかにも9月と来年4月にリーグ戦で対戦することになっているので、彼らの“ダービー”の行く末に注目したい。


Photo: Getty Images

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AFCウィンブルドンMKドンズ文化

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。