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モウリーニョが愛弟子に“喝”! 論点は「プレー原則」にアリ!?

2019.08.14

プレミアに帰還した“スペシャル・ワン”

 ついに新シーズンの幕が開けたプレミアリーグ。その直前に閉幕した移籍市場で高額移籍を果たしたロドリニコラ・ペペ、マグワイアらの活躍は見どころの一つだが、プレミアリーグを中継している英放送局『Sky Sports』が獲得に成功した“超大物”にも注目が集まっている。ギャリー・ネビルジェイミー・キャラガーに続く新たなご意見番として、あのジョゼ・モウリーニョを招へいしたのだ。

 さっそく自身にとっての古巣対決となった開幕節マンチェスター・ユナイテッド対チェルシーの中継に登場した“スペシャル・ワン”は試合後、悲しげな表情を浮かべながらも4失点を喫したチェルシーに対して厳しい評価を下した。

 「チェルシーはあまりにも脆かったね。守備ではコンパクトさを保てず広大なスペースを与えて相手にプレーを許していたし、ボールホルダーに対するプレッシャーも甘い。守備のラインもDF・MF・FWの各ライン間の距離が開いたままでコンパクトになることはなかった」

 「フットボールでいつも重要だと感じているのは、自分たちの長所と短所を知ること。そして、相手の長所と短所を知ることなんだよ。今日のチェルシーは自分たちのアイデンティティばかりを気にしていて、ユナイテッドのアイデンティティや長所を軽んじていたのではないかな」

「戦術・システム≠プレー原則」

 モウリーニョが師弟関係にあるチェルシー新指揮官フランク・ランパードへ苦言を呈したのに対し、指導者としてのプレミアデビュー戦で苦汁をなめたランパードをかばったのは、かつて彼とイングランド代表で共闘したキャラガーだった。

 「フランク率いるチェルシーは前へ進んでいると思うよ。近年フットボール界で普及しつつあるのは、『俺はこうやりたいんだ!』『俺たちはこうやってプレーするぞ!』という監督のアプローチだからね。相手のことをあまり考えなくなっているのかもしれない」

 しかし、モウリーニョは「戦術・システムとプレー原則は別問題。プレー原則は永久不変なんだ」と持論を展開。「プレー原則」とは何かを説明するために、かつてリバプールでキャラガーが師事したラファエル・ベニテスのジェスチャーを振り返った。

2004年から2010年までの6年にわたってリバプールの指揮を執った“ラファ”ことラファエル・ベニテス

 「“ラファ”はいつもタッチライン際で両手を離しては近づけながら『コンパクト!』というメッセージを送っていただろう?チェルシーの守備ブロックは6人と4人に分離していたけど、今や優れたチームはどこもコンパクトに守っているよ」

 「より攻撃的に高い位置で守備ブロックを敷こうと、より守備的に低い位置で守備ブロックを敷こうと、どちらも守備ブロックを構築していることに変わりはない。プレーするシステムに関係なく、『コンパクトに守る』ということは基本的なプレー原則に過ぎないんだ」

 “守備の専門家”として知られるモウリーニョだが、 「プレー原則は他にもある。いろいろな考え方はあれど、ボールを保持しているチームはボールを失った瞬間に備えなくてはならない。ボールを失った後にリアクションをするわけではないんだ」 と、プレー原則は他の局面でも重要な役割を果たすことを強調。その一例として元ユナイテッド指揮官が挙げたのは、昨季途中までしのぎを削り合った宿敵ペップ・グアルディオラが指揮するマンチェスター・シティだ。

 「シティはボール非保持の局面でも、とても整備されているチームだと思わないかい? 彼らの守備もそうだし、攻撃から守備への切り替えにおけるボールを失った時のリアクションも素晴らしい。一流のチームはボール保持/ボール非保持/攻撃から守備への切り替え /守備から攻撃への切り替え、すなわち『ゲームの4局面』をコンプリートしているんだ。攻撃的なチームであろうと守備的なチームであろうと、各局面で整備されていなくてはならないのが基本だよ」

 その一方で、ピッチ外での変化によってプレシーズンだけではプレー原則を落とし込むことが難しくなっているという「現場の悩み」を1人の指導者として明かした。

 「かつてはほとんどの選手たちがプレシーズンに参加できていたから、2~4週間にわたってすべての主原則・準原則を落とし込める時間があったが、少しずつ変化が起こっている。移籍市場こそ早く閉まるようになったが、W杯やコパ・アメリカの影響で選手たちの合流が遅れてしまうためシーズン中にもプレー原則を落とし込まなければならないんだ」

 “モウリーニョ節”が炸裂したこのディスカッションは世界中のフットボールファンから大好評を博しており、YouTubeに公開された動画は早くも150万回再生に到達しそうな勢いだ。奇しくも同じくプレミアデビュー戦でユナイテッドと対戦しながら、愛弟子ランパードとは対照的に勝利をもぎ取り、チェルシー初年度からリーグタイトルを掲げているモウリーニョ。本人は今も監督業復帰に意欲を見せているが、解説者としてのキャリアからも目が離せない。


Photos: Getty Images

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ジョゼ・モウリーニョチェルシー戦術

Profile

足立 真俊

1996年、岐阜県出身。生まれもっての“人見知り”を克服するためにアメリカにあるウィスコンシン州立大学でコミュニケーション学を専攻。学業の傍らで趣味として始めた翻訳活動がきっかけとなり、サッカーに関する様々な情報発信を模索中。2019年5月、結局“人見知り”のままfootballista編集部の一員に。つぶやっきー:@fantaglandista