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なぜロドリは1年で出て行くのか? アトレティコが置かれる微妙な立場

2019.06.21

ロドリ、マンチェスターC移籍間近

 昨夏やって来たばかりのロドリが、たった1年でアトレティコ・マドリーを去ることになりそうだ。行先はマンチェスター・シティが濃厚で、6月30日を過ぎれば違約金7000万ユーロ(約85億円)が支払われる予定で、正式発表はその後となる。

 ロドリの移籍は、クラブが苦しむ2つの問題を象徴するものである。

 1つ目は財政的な問題。アトレティコ・マドリーは13位という売上高(『フットボール・マネーリーグ2019』より)が示す通りの位置付けのクラブである。上位8、9のCL優勝を目指すクラブの1ランク下であり、今回のように上位クラブに違約金を支払われたり、引き抜きを掛けられたりすると、財政的に対抗できない。バイエルンは違約金を払ってリュカ・エルナンデスを強奪していったし、グリーズマンのように無理に高給で引き止めても、財政圧迫により1年でやはり手放さないといけない羽目になる。

 グリーズマンの違約金は1億2000万ユーロ(約145億円)と言われているが、それはそのままジョアン・フェリックス(ベンフィカ)獲得の資金に費やされる見込み。世界王者グリーズマンと19歳のフェリックスが同額ではどう考えても釣り合わないが、それが異常なインフレが続く今の移籍市場であり、アトレティコ・マドリーはそれに翻弄されているように見える。実際、昨夏はトマ・レマールに7000万ユーロというクラブ史上最高額を投じて期待外れに終わっている。

CL参戦以上、CL優勝未満

 2つ目は、サッカー的な問題である。シメオネ監督のディフェンシブなスタイルは、アトレティコ・マドリーをスペイン第3のクラブに定着させ、CL参戦の常連クラブとした。だが、それが足かせにもなっている。

 レマール同様、マンジュキッチ、ジャクソン・マルティネス、ラウール・ヒメネス、ビエット、カラスコ、ガイタン、ガメイロ、ビトロ、ジェルソンら攻撃タレントが次々とやって来たが、彼らにも守備をさせるやり方にこうした選手たちは馴染めず、出て行ったり燻ったままとなっている。

 ロドリはよく適応した方だが、グアルディオラに指揮されることを選んだ。守備意識が高まりボール回復力では傑出したものを見せたものの、前にパスの受け手がいないから攻撃的なセンスが生かせない。トーマスやサウール、コケとダブルボランチを組むことが多かったが、シティのようなポゼッション志向のチームなら1ボランチを任され、その分ボールタッチもパス本数も増えるに違いない。

 思えば、グリーズマンが出て行く決断をしたのも「上を目指したから」だった。CL参戦以上CL優勝未満――微妙な立ち位置でアトレティコ・マドリーが揺れている。

Photo : Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。