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スペイン撃破で盛り上がるスコットランドのフットボール界

2023.03.31

 EURO 2024予選でスペイン代表を下したスコットランドのフットボール界が盛り上がっている。

 EUROの予選でスペインやノルウェーと同じA組に入ったスコットランド代表は、25日の初戦でキプロスに3-0で快勝すると、28日に行われたスペイン戦にも2-0で見事に勝利。開幕2連勝で2大会連続のEURO本大会出場に向けて好スタートを切った。

 スコットランドがスペインに勝利するのは1984年のW杯予選以来、実に39年ぶりのこと。FIFAランク42位のスコットランドが10位のスペインを倒したわけだが、データを取り扱う『Gracenote』社によるとスコットランドにとってはEUROとW杯の予選のホームゲームにおいて歴代3番目の番狂わせだという。

 英紙『The Guardian』のポッドキャストに出演したスコットランドのコメディアン、ジム・バークは母国の勝利に喜びを隠し切れず「本来、スペインに2-0で勝ったと本気で思えるには、かなりのドラッグが必要になるのにね!」とブラックジョークを飛ばした。

立役者をめぐる過去の“争奪戦”

 勝利の立役者となったのは本拠地ハムデンパークで2ゴールを叩き込んだマンチェスター・ユナイテッドのMFスコット・マクトミネイ(26歳)だが、彼については5年前のユナイテッドの練習場での一幕があらためて報じられることになった。

 マクトミネイはイングランド生まれだが、父がスコットランド出身のため、どちらのチームも選ぶことができた。そんなマクトミネイをめぐり、2018年2月にイングランドとスコットランドが争奪戦を繰り広げたのだ。結局、マクトミネイはスコットランドを選んだわけだが、決め手となったのは元ユナイテッドの指揮官であるサー・アレックス・ファーガソンの存在だった。イングランドのギャレス・サウスゲイト監督も必死に口説いたそうだが、スコットランドの英雄であるサー・アレックスの説得もあり、マクトミネイは父の出身国を選ぶことにした。

 守備的な役割を任されることの多いマクトミネイはゴールとは縁の遠いMFで、これまでスコットランド代表では37試合でわずかに1ゴール。それが今月はキプロス戦とスペイン戦で2試合連続の2ゴールと覚醒! 巷では「マクトミネイはバロンドールの授賞式でキルト(スコットランドの民族衣装)を着るべきか?」といった冗談が飛び交っているとか。

 英国メディアは、スコットランド代表の雄姿を報じるとともに敗れたスペインの“負け惜しみ”も存分に満喫している。試合後、スペイン代表で腕章を巻いたマンチェスター・シティのMFロドリは「スコットランドのサッカーも尊重しないといけないが、ちょっとクズに思える」と言い放ち、スコットランド代表について「時間稼ぎ」「挑発」「すぐに倒れる」と指摘して「僕からするとあれはサッカーじゃない」と批判した。

 これに対してリバプールに所属するスコットランド代表DFアンディー・ロバートソンは「俺たちはフィジカルを発揮して戦ったが、度を超えたとは思わない。試合前半、スペインは少し転げ回って俺たちにイエローカードを出させたけど、それは仕方ないことさ」と軽くあしらった。

 一方で元スコットランド代表にしてご意見番のアリー・マッコイストは「ロドリにとっては少し強さ過ぎたのかもね」と英国ラジオ局『talkSPORT』で母国の勝利を喜んだ。ロドリについて番組MCが「彼に神のご加護を」と同情したのに対し、マッコイストは「彼はスコットランドがクズだと言ったそうだね。彼の“ノミの心臓”にご加護を!」と大笑いした。

 この試合が記念すべきスペイン代表デビューとなった29歳のDFダビド・ガルシアも「言い訳はできないが……」と語りながら「芝が長すぎた」とピッチのせいにした。当然、これも恰好の“ネタ”となってしまい、英紙『The Guardian』の記者に「犬が宿題を食べてしまったと同等の言い訳」とバッサリ斬り捨てられた。

勝って兜の緒を締めよ

 さてさて、2連勝スタートでEURO本大会に一歩近づいた切ったスコットランドだが、スティーブ・クラーク監督は「前進したように感じるが、まだ6ポイントだ。6ポイントでは予選を突破できない。次は6月だ。我われにとって重要な月になるだろう」と気を引き締め直した。確かに、6月の予選2試合はスコットランドの命運を握る可能性が高そうだ。

 ジム・バークも十分それを承知している。「選手のケガを願うことはしたくないが」と前置きした上で「今季の最終戦でマンチェスター・シティとアーセナルの“2人”の選手が、プレシーズンに間に合うようなハムストリングのケガを負ってくれるといいね」と“本音”を漏らしている。

 次はノルウェー戦。確かに、今季プレミアリーグで主役級の活躍を見せるノルウェーの“怪物”と“ゲームメイカー”がそろって欠場してくれたら、スコットランドのファンにとってはありがたいことにはなるだろうが……。

Photo: Getty Images

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スコット・マクトミネイスコットランド代表

Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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