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ゴルフでも一流のハリー・ケイン。重要な権利をかけた勝負に快勝!

2022.07.16

 トッテナムに所属するイングランド代表FWハリー・ケイン(28歳)が、ゴルフで見事なパットを決めたと話題になっている。

 ケインはボールを蹴るだけでなく、クラブを握らせても一流のプレーヤーだという。ハンディキャップ「ゼロ」という腕前で、将来的にプロゴルフ転向の可能性を聞かれて「完全には否定できない」と答えたことがあるほど。そんなイングランド代表の主将が、6月30日から2日間に渡ってニューヨークで開催された「アイコンズ・シリーズ」というゴルフのチャリティーイベントに出場して見事なパットを決め、観客を沸かせたという。

初日は見せ場を作るも…

 このイベントは、世界中の著名な現役・元スポーツ選手が集結して「アメリカチーム」と「その他のチーム」に別れてゴルフで対決するもの。第1回大会となる今回はニューヨークで開催され、元プロゴルファーのフレッド・カプルス(62歳)が主将を務める「アメリカチーム」にはマイケル・フェルプス(元競泳)、マイケル・ストレイハン(元NFL選手)、ロビー・ゴールド(現NFL選手)などが名を連ねた。

 対する「その他のチーム」は4度のメジャー制覇を誇るゴルフ界の英雄アーニー・エルス(南アフリカ出身)が主将を務め、サッカー界からはケインの他にリバプールのMFジェイムズ・ミルナー(36歳)と元イングランド代表MFアラン・スミス(41歳)も出場した。

 大会1日目、ケインは今年3月に現役を引退した元女子テニス世界ランク1位のアシュリー・バーティ(26歳/オーストラリア)とペアを組んで“フォーボールゴルフ”でJ・R・スミス(元NBA選手)、ジョン・スモルツ(元MLBの投手)の米国ペアと対戦した。

 5.5mのパットを沈める見せ場を作ったケインだが、最初の“フォーボール方式”の試合は敗れることに。その後の“グリーンサム方式”では1勝するも、「カネロ」ことボクシング世界スーパーミドル級4団体統一王者サウル・アルバレス(31歳/メキシコ)と組んで臨んだ2度目の“フォーボール方式”でもアメリカ勢の前に屈した。

“フットボール呼称”の権利を獲得!

 2日目、ケインは2度のスーパーボウル制覇を誇るNFLの英雄ベン・ロスリスバーガー(40歳)とシングルス戦で対戦したが、そこでも涙をのむことに。結果を出せずに悔しい思いをしたケインだったが、彼にも一矢報いるチャンスがあったという。それが大会の前に行われた“キック対決”である。ケインは、NFLでプレースキッカーとして活躍するロビー・ゴールドとキックでニアピン勝負をすることに。サッカーボールとアメフトボールを順番に蹴って、58ヤード(約53メートル)のゴルフコースでニアピン勝負だ。

 最初のサッカーボール対決はケインが順当に勝利するも、アメフトボール対決ではゴールドに軍配が上がり1-1のタイスコア。そこで、最後はゴルフのニアピン勝負で決着をつけることに。これを制したケインが見事に勝利した。

 実は、この対決は単なる前哨戦ではなく、ある“重要な権利”がかかっていたという。ご存知の通り、アメリカでは「フットボール」と言えば「アメリカン・フットボール」で、英国のフットボールはアメリカでは「サッカー」と呼ばれる。米英の間には“フットボール呼称問題”があるのだ。英国人は「サッカー」と呼ばれることを嫌うし、アメリカ人は「アメリカン・フットボール」と呼ばれることを嫌う。どちらも純粋に「フットボール」と呼びたいのだ。

 今回の対決では、この“フットボール呼称”の権利がかかっていた。勝利したケインには、アメリカ開催のイベントにも関わらず「サッカー」ではなく「フットボール」と呼ぶ権利が与えられた。そのためケインは、大会の自己紹介VTRで「ハリー・ケイン。フットボールのイングランド代表キャプテン。その通り、フットボール!」とスポーツ名を強調したのである。

 最終的に「アメリカチーム」の圧勝に終わった今回のイベントだが、「その他のチーム」でも大健闘する選手がいた。それがリバプールのミルナーである。シングルス戦で元アメリカン・フットボールのレジー・ブッシュに快勝するなど、5戦に出場して4勝したという。複数のポジションをこなすミルナーは、本当の意味で万能プレーヤーのようだ。


Photo: Getty Images

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Profile

田島 大

埼玉県出身。学生時代を英国で過ごし、ロンドン大学(University College London)理学部を卒業。帰国後はスポーツとメディアの架け橋を担うフットメディア社で日頃から欧州サッカーを扱う仕事に従事し、イングランドに関する記事の翻訳・原稿執筆をしている。ちなみに遅咲きの愛犬家。

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