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「共闘」はどこから来たのか。日本代表が問い続けるべき『日本らしさ』という課題

2026.08.30

【特集】北中米W杯総括。日本代表が向き合うべき「壁」の正体#3

日本代表が世界の頂点を目指して戦った北中米W杯。グループステージを突破し、歴代最多得点を記録するなど確かな成長を示した一方で、決勝トーナメントでは初戦のラウンド32でブラジルに敗れ、目標として掲げた“最高の景色”には届かなかった。

では、日本代表を阻んだものは何だったのか。個の力か、戦術か、育成か。それとも私たちが信じ続けてきた「日本らしさ」なのか。北中米W杯は、日本サッカーが次の4年へ進むために向き合うべき「壁」の存在を浮かび上がらせた。本特集では、強化、育成、そして「日本らしさ」をめぐる言説まで含め、その正体を多角的に検証する。

第4、5回は『サッカー報道とナショナリズム:「日本らしい」プレーとは何か』(青弓社)の著者、スポーツ社会学者の笹生心太氏にインタビュー。2026年W杯で日本代表が掲げた「共闘」。その言葉は突発的に生まれたものではなく、日本代表を巡る長年の言説の延長線上にある――。笹生心太氏は、「組織力=団結力」という価値観が日本サッカーに深く浸透している現状を指摘する。その一方で、国外にルーツを持つ選手の増加やグローバル化の進展によって、「日本代表とは何を代表する存在なのか」という問いもこれまで以上に重要になりつつある。後編では、日本代表の未来とナショナリズムのこれからについて考える。

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「共闘」はオシムから続く物語なのか

――オシムが掲げた「日本サッカーの日本化」に「団結力」という意味合いが含まれていたこと、そしてその使い方が一般化していったことは、今回のW杯における「共闘」というコンセプトにも何かしら影響を及ぼしていたのかもしれません。

 「そうですね。今回の研究対象が2014年までのサッカーマガジンなのでそれ以降の記事をすべて読んでいるわけではないのですが、代表を巡る言葉の大きな歴史で考えると、つながっていると言わざるを得ないのかなと思います。試合に出る時間が短いことを踏まえた上での長友(佑都)の招集にせよ、メンターとしての南野(拓実)や吉田(麻也)の帯同にせよ、この辺の動きは突き詰めれば日本サッカーがドイツW杯のトラウマを引き続き抱えていると言えなくもないはずです」

――長谷部(誠)や中村俊輔といったコーチ陣の人選にも広がる話です。

 「そうやって先輩のような立場の人から若者までが一致団結することこそが日本の組織力であるという考え方が根づいて、チームの中や協会、それを報じるメディアも、そしてサッカーファンもそこに疑問を持たない空気になっていたのが2026年の日本サッカーの現在地だと思います」

団結力は強みか、それとも制約か

――「組織力=団結力、それが日本の良さ」というのを皆が内面化した状況ということですね。

 「もともとエゴの強いアタッカーだったはずの堂安がフォア・ザ・チームを強調するようになっていたのも、こういう補助線を引くと捉え方が変わってきそうです。そして、今回の本では実際のプレーについての分析は避けているのですが、この考え方が選手の能力を発揮する際の制約になっていたのではないか、今の『日本らしさ』は勝利から逆算した時に最適なものになっているのか、というのはあらためてこれから向き合うべき問題なのかもしれません」

――確かに、「日本らしさ」に拘泥しすぎることの是非はこの先重要になりそうです。

 「ただ、今回の研究を通じて、『日本らしさ』というものには一応実体があって、時期によって多少の差はあるもののこれまで継続的に培われてきたことがわかったのは良かったと私は思っています。

……

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Profile

レジー

1981年生まれ。一般企業に勤めつつ、音楽ブロガー・ライターとして日本の音楽シーンに関する論考を各種媒体で発信。最近では「ファスト教養」論など社会・カルチャー全般に関する寄稿も展開。著書に『夏フェス革命-音楽が変わる、社会が変わる-』『日本代表とMr.Children』(宇野維正との共著)。

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