ドルトムント撃破は偶然ではない。マチン新体制セレッソ大阪が示した「スペイン方式」の優位性
新・戦術リストランテ VOL.127
footballista創刊時から続く名物連載がWEBへ移籍。マエストロ・西部謙司が、国内外の注目チームの戦術的な隠し味、ビッグマッチの駆け引きを味わい尽くす試合解説をわかりやすくお届け!
第127回は、パブロ・マチン監督就任直後にもかかわらず、ドルトムント相手に高い完成度を示したセレッソ大阪を分析。「スペイン方式」は、なぜこれほど短期間で浸透するのか。そして、世界中が模倣しても「スペインだけがスペイン」であり続ける理由も探る。
ドルトムントを上回ったマチン・セレッソの完成度
良い監督はだいたい初速でわかります。最初は全然だけど少しずつ積み上げていって素晴らしいチームに仕上げる、というケースはあまりない気がします。
記者会見などで「積み上げていくしかない」みたいな監督コメントをよく聞きますが、そういうチームほど実際に積み上がっていった例があまりない。ゼロではないけど少ないですね。プロなので、そんなに与えられる時間はなく、積み上がるのを待っていられない事情はあるかもしれません。逆にプロの監督ならば、あっという間に結果を出さなければいけないとも言えます。
パブロ・マチン新監督のセレッソ大阪は仕上がっていました。
ドルトムントとの親善試合、開始から主導権を握ったのはC大阪。ハイプレスでドルトムントにビルドアップを許さず、次々にボールを奪って攻め込み、フィニッシュに結びつけ、8分で櫻川ソロモンが先制点をゲット。
結局これが決勝点になりましたが、60分まではC大阪がずっとペースを握り続けていました。60分以降、8人を交代したドルトムントがようやく攻勢に転じていますが、それまではC大阪のゲームでしたね。
フォーメーションはどちらも[3-4-2-1]。後方からビルドアップを試み、守備ではマンマークで高い位置から奪いに行くのも同じ。志向するプレースタイルが同じだけに、C大阪の完成度の高さが光りました。
Jリーグの方がブンデスリーガより少しシーズン開幕が早い。その分のコンディション差はあったかもしれないし、ドルトムントは高温多湿の気候に適応が難しかったとも思います。この時期に欧州の強豪を招いてのプレシーズンマッチで、Jクラブが互角以上のプレーをすることは珍しくありません。特に前半に関してはコンディションの差がもろに出やすい。後半は欧州側が総取り換えに近い交代をするので、それでコンディション差が埋まって欧州側が有利になるのですが、前半はマンチェスター・シティやバイエルンが相手でも五分に近い感じでやれていたものです。
ただ、今回は欧州とシーズンが揃っていますから、こちらがシーズン中で相手がオフ明けというコンディション差はありません。C大阪は普通にドルトムントに勝っています。
「国際スタンダード」を最短で浸透させるスペイン方式
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Profile
西部 謙司
1962年9月27日、東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、会社員を経て、学研『ストライカー』の編集部勤務。95~98年にフランスのパリに住み、欧州サッカーを取材。02年にフリーランスとなる。『戦術リストランテV サッカーの解釈を変える最先端の戦術用語』(小社刊)が発売中。
