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“ほぼ”勝てるデュエルの秘密。準備と認知、決断が生む佐野海舟「安定感」の正体

2026.05.09

遣欧のフライベリューフリッヒ#25

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回はW杯日本代表メンバー発表も目前に控える中で、シーズンを通して圧倒的なパフォーマンスを見せてきたMF佐野海舟(マインツ)にフォーカス。難しい時期も過ごしながら、最後はしっかり残留も決めた今季の中で、佐野が抱かせた“安定感”の正体と、デュエルの秘訣に林記者が迫った。

残留決めたマインツの要石

 5月3日、ブンデスリーガ第32節・ザンクトパウリとの残留争い直接対決を制し、マインツは来季残留を確定させた。

 ウィンターブレイク前の時点でわずか1勝しか挙げることができずに最下位へと沈んでいたチームは、新指揮官であるウルス・フィッシャー監督のもとで手堅いチームを構築。何とか生き残ったのだ。

 カンファレンスリーグとの並行もあり忙しなかったシーズン。浮き沈みを経験したマインツを支えていたのは、間違いなく佐野海舟だった。鋭い予測からのボール奪取、ほとんど負けないデュエル。そして、そこからの展開力やアグレッシブなボール運びまで、チームの中心として奮闘し続けた。安定感の高さも抜群で、どの試合でも存在感を放っていた。

 いつも安定したパフォーマンスを見せている印象だが、本人は「波は少なかったかなと思いますけど」と前置きした上で、「いい時の幅をもっと大きくしないといけないし、悪い時の基準値をもっと高めないといけない」と話す。これは先日の取材で発せられた言葉なのだが、ここに外からの評価と内側の感覚のズレを感じた。

 そのズレを解く鍵もまた、佐野自身の言葉の中にある。

「デュエル」の勝利を決めるもの

 よく見かけるシーンがある。相手選手と佐野の間くらいにボールがこぼれ、フィフティーフィフティーとも思われるボールを一瞬だけ先に触って回収していくプレーだ。これが試合中に何度もあり、その精度はかなり高い。

 一見するとスピードの産物に映るが、佐野本人は「単純なスピードはここではあまり通用しない」と言い切る。では何が勝負を分けているのか。「フィフティーフィフティーのボールを常に先に触ることができる理由」を問うと、ポジショニングと予測の話をした後、こう続けた。

……

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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