戦線復帰早々に打ち出した確かなベテランの存在感。アルビレックス新潟・小野裕二が示し続ける自身の価値
大白鳥のロンド 第33回
頼れる男が、帰ってきた。アルビレックス新潟在籍3シーズン目。確かなテクニックとあふれるパッションを合わせ持つ33歳のアタッカー、小野裕二のことだ。J2・J3百年構想リーグ第6節の奈良クラブ戦では実に4年ぶりのフル出場を果たすなど、着々とコンディションも整いつつあるベテランが示し続ける価値を、野本桂子が本人の言葉を交えて説き明かす。
今季初のベンチ入り。“緊急登板”で即結果を出してみせる!
今季でプロサッカー選手歴16年目。アルビレックス新潟の選手としては3シーズン目を迎えた小野裕二は、ベテランの戦術眼と技術を、熱い闘志を、チームに還元している。
緊急登板で、早速、違いを見せた。
明治安田J2・J3百年構想EAST-Aグループ地域リーグラウンド第4節・FC今治戦。開幕直前に離脱していた小野は、ようやく復帰し、今季初めてベンチ入りを果たしていた。序盤から、ボールを保持する今治にペースを握られる展開。その中で前半25分、森璃太が負傷した。すぐに呼ばれたのは小野。[4-2-3-1]のトップ下に投入された。
「しっかり試合に入れるように準備はしていたので、慌てることはなかった」。開幕から3試合、外からチームを見る時間があったからこそ「何が足りないのか、感じるところはあった。自分が入ることでいい影響をもたらせたら」と、イメージできていた。
ピッチに立ち6分後、小野が先制ゴールを決めた。
前半31分。自陣に降りてジェイソン・ゲリアからパスを引き出すと、島村拓弥とのワンツーで右サイドを崩し、自身はゴール前へ走る。島村を経由し、藤原奏哉が右ポケットから折り返したボールに右足を振り抜くと、これはDFにはじかれたが、すぐにこぼれ球に詰めてネットを揺らした。
2ゴールに絡んで今季初の連勝に貢献
船越優蔵監督体制になった今季、キャンプから取り組んできたのは、ボールを奪ってからの縦に速い攻撃。そこで一定の成果も見せつつあった中で、「勝っていても、100%納得できるような試合ではない」というのが、外から見ていての思いだった。
「久しぶりに新潟らしい、ボールのスムーズな動きが見せられたんじゃないかな」。過去6シーズンに渡ってチームが積み上げてきた、ビルドアップからの崩しを、久々にピッチで表現してみせた。
1点リードで迎えた後半は開始から20分ほど、今治の反撃に押し込まれ、ペナルティエリアでピンチになる場面が続いた。「ずっと攻撃を受け続けるのはダメージがかかるし、あれがJ1のチームだったら、やられてしまう可能性が増える」。
小野はフレッシュな交代選手を動かしながら、徐々に前からプレッシャーをかけられるよう修正。さらに89分、つった足でなんとか出した縦パスが、試合を決定づける2点目にもつながった。新潟は、2−0で今治に勝利。今季初連勝を飾った。
「少しは、いい影響をもたらせたんじゃないかな。これを継続して、自分の価値を高めていかないと」。ゲームメーカーとしてもフィニッシャーとしても、小野は確かな存在感を示した。
4年ぶりのフル出場でPK戦勝利。上向きつつあるコンディション
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Profile
野本 桂子
新潟生まれ新潟育ち。新潟の魅力を発信する仕事を志し、広告代理店の企画営業、地元情報誌の編集長などを経て、2011年からフリーランス編集者・ライターに。同年からアルビレックス新潟の取材を開始。16年から「エル・ゴラッソ」新潟担当記者を務める。新潟を舞台にしたサッカー小説『サムシングオレンジ』(藤田雅史著/新潟日報社刊/サッカー本大賞2022読者賞受賞)編集担当。現在はアルビレックス新潟のオフィシャルライターとして、クラブ公式有料サイト「モバイルアルビレックスZ」にて、週イチコラム「アイノモト」連載中。
