REGULAR

堂安律のドリブルの「質」が変わった!?低重心のゴリゴリ系から高重心のフワフワ系へ

2026.02.04

清水英斗の「語りたくなるワンプレー」#4

ピッチ上の22人が複雑に絡み合うサッカーというスポーツは、一歩立ち位置が違うだけでバタフライエフェクトのようにその後の展開が大きく変わってくる。戻るのか・戻らないのか、走り込むのか・とどまるのか……一見何気ない選択の裏には数多くのドラマが眠っている。清水英斗が思わず語りたくなるワンプレーを掘り下げる。

第4回は、低重心のゴリゴリ系から高重心のフワフワ系へ――ブンデスリーガ第14節アウクスブルク戦のドリブルゴールから見えたフランクフルト・堂安律のドリブルの「進化」について考察してみたい。

 最初に断っておくと、これは非常にタイミングの悪い記事だ。チームは絶不調で監督が解任され、暫定監督に交代した後も連敗。そんなチームの評価に引きずられて本人のパフォーマンスに対する酷評も増える中で、ちょっと出しづらい原稿ではある。

 ただ、それでも近年の堂安律については一筆認めておきたい。

純粋な対人ドリブラーから「1対多」のメッシ型へ

 昨年12月、ブンデスリーガ第14節のアウクスブルク戦で決めたドリブルシュートは、近年の堂安のプレー変化を強く感じさせた。ワンタッチで中へ持ち出して背中の敵を外し、その後はスルスルと複数人の間をすり抜けてシュートへ。ボールはDFに当たってゴールに吸い込まれた。最初のワンタッチからシュートに至るまで、相手の立ち位置や体勢を見ながらスペースをすり抜ける、完璧なコース取りだった。

 あれっ、堂安ってこんなにドリブルうまかったっけ? 

 そう思った人もいるのではないか。いや、うまさ云々というか、種類が違う。少なくともカタールW杯以前の堂安は、もっと1対1で仕掛ける類の対人ドリブラーだった。

 自分から右、左、右、左と大きく踏み込んでフェイントを仕掛け、相手が引っかかれば逆を取る。姿勢は低重心が基本だ。重心が低いため、行きたい方向への一歩目が鋭い。ドンッと爆発的なスピードアップで相手を置き去りにする。また、低い姿勢は外圧にも強いので、当たられた時に粘り腰で耐えられる。1対1で相手に仕掛けて、抜く、かわすスタイルだった。

 一方で、相手がフェイントに引っかからなければ、縦を読まれて潰されたり、あるいは体勢を入れ替える間に懐に入られてボールを奪われたり、もしくは行き詰まってバックパスを強いられることも少なくなかった。そのため味方を使って解決したりと、堂安は器用さも持っていたが、ベースは対人プレーヤーだった。

 しかし、アウクスブルク戦のドリブルは全くの異質だ。

……

残り:1,457文字/全文:2,515文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

清水 英斗

サッカーライター。1979年生まれ、岐阜県下呂市出身。プレイヤー目線でサッカーを分析する独自の観点が魅力。著書に『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』『日本サッカーを強くする観戦力 決定力は誤解されている』『サッカー守備DF&GK練習メニュー 100』など。

RANKING