FEATURE

「献身性の重要性をプレーで示すことも僕の仕事」チームのために闘える福岡・ウェリントンが担う多種多様なタスク

2025.11.07

途中出場で流れを変えるJの「フィニッシャー」たち#3
ウェリントン(アビスパ福岡)

アーセナルのミケル・アルテタ監督は『BBC』のインタビューで「フィニッシャー」の重要性について言及している。ラグビーでは試合終盤に投入される選手を「フィニッシャー」と呼び、アルテタは現代サッカーでは「先発よりも重要」とまで主張。実際、アーセナルはトロサールやマルティネッリが流れを変える存在として機能している。5人交代制の導入で“16人の戦術”が必要になった今、ベストメンバーという概念は希薄になってきている。試合を決める“切り札”は最後まで取っておくもの? 2025シーズンのJリーグで輝いている「フィニッシャー」にフォーカスを当てる。

第3回は、日本で12年目を迎えた福岡のウェリントンの貢献について。「献身性の重要性をプレーで示すことも僕の仕事」と語る37歳のFWが担っている多種多様なタスクを解説してもらった。

 ウェリントンは非常に稀なタイプのフィニッシャーであるように思う。

 10月26日の明治安田J1リーグ第35節時終了時点でウェリントンは28試合に出場。うち20試合が途中出場となっている。ポジションがFWなので途中出場で監督が求める理由の1つが攻撃面、得点であることはもちろんだ。

 今季から福岡の指揮を執る金明輝監督が「ロングボールを入れれば競り勝ってくれ、前線で起点をつくってくれる」とウェリントンの途中起用の狙いを話す。

 空中戦で見せる抜群の強さと、たびたび相手とのコンタクトでアンフェアな行為はしていないのに相手が吹き飛んでしまいファウルと判定されてしまう強靭なフィジカルで、攻撃時の確固たる起点づくりを期待されてピッチに送り込まれるのだ。もちろん、セットプレーからゴールを狙いたい時には頼もしいターゲットとなる。

Photo: Takahiro Fujii

「能動的守備のスイッチ役」としての信頼

 ただ、クラブが成長を遂げるために不可欠なテーマである得点力の向上という使命を受けて指揮官となった金明輝監督はウェリントンの別の能力も信頼している。

 「彼は連続性のあるプレスで相手の攻撃に規制をかけられる選手だ」との言葉通り、高い位置で相手ボールを奪い攻撃につなげるという指揮官が志向するスタイル実現に欠かせない、能動的守備のスイッチ役としての期待が大きいのだ。

……

残り:2,314文字/全文:3,292文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

Profile

島田 徹

島田徹(しまだ・とおる)/広告代理店勤務の後、1997年にベースボール・マガジン社に転職。サッカーマガジン編集部、ワールドサッカーマガジン編集部で2006年まで勤務した後、07年より福岡にてフリー活動を開始。サッカーマガジン時代に担当を務めたアビスパ福岡とギラヴァンツ北九州をメインに、ほぼサッカーの仕事だけで生きつなぐ。現在はエルゴラッソの福岡&北九州を担当。

RANKING