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新たな戦力が相次いで活躍する好サイクル。「2011年のチームに似ている」柏レイソルは真剣にリーグタイトルを狙う!

2025.07.10

太陽黄焔章 第26回

23節が終了した時点で、柏レイソルはJ1の単独首位に立っている。開幕から好調をキープしてきた中で、原川力や杉岡大暉、熊坂光希と主力が相次いで負傷離脱したものの、代わりに登場した山田雄士が、田中隼人が、中川敦瑛がその穴を補って余りある活躍を見せれば、戸嶋祥郎や仲間隼斗、三丸拡といったベテラン勢も丁寧な準備を感じさせるパフォーマンスを披露し、チーム力はむしろ向上するばかり。この好サイクルを大きなパワーに、14年ぶりのリーグ制覇へ突き進む。

負傷者続出も次々に出てくる新たな主力選手たち

 今季の柏レイソルには、原川力、杉岡大暉、手塚康平、熊坂光希と、主力選手に負傷者が続いている。また、キャンプで好調だった片山瑛一も開幕前のケガで復帰には至っていない。

 それでも柏は、代わりに起用された選手たちがその都度活躍し、彼らが欠場者の穴を埋めることでチーム力を維持してきた。

 原川離脱後には山田雄士が、杉岡の離脱後は田中隼人と三丸拡が、欠場者の穴を補って余りある活躍を見せ、今季の柏において“戦術の要”と目されていた熊坂が右膝前十字靭帯断裂という大ケガで長期離脱となった後も、大卒ルーキーの中川敦瑛が頭角を現した。

 さらにJ1第22節・清水エスパルス戦では、山田が出場停止になりながらも、今季のリーグ戦では2試合目のスタメン出場となった戸嶋祥郎が得点を決めて、清水を2−0で下している。

 殊勲の戸嶋は、清水後に現在のチームの雰囲気について以下のように話した。

 「チームの和を乱す選手もいないし、メンバー外の練習も100%出している選手しかいません。だからこそこうやって結果を出して、そういう選手たちに少しでも刺激を与えたいと思っていましたし、全員が競争に加わっていかないとタイトルは狙えない。他の選手も、これで『次は自分が』という思いになっていると思うので、その競争を勝ち抜いていけるようにやっていきたいと思います」

本職ではなかったボランチ・中川敦瑛のレギュラー定着

 リカルド・ロドリゲス監督は「長いシーズンを高いレベルで戦い続けるには11人だけではなく、サブメンバーたちの存在が重要になる」と言う。ゆえに、日頃からその重要性を選手たちに伝え、トレーニングではスタメンやサブメンバーの分け隔てなく、いつ、誰が試合に出場してもチームのレベルを維持できるようにと、全選手に戦術を落とし込んでいる。

 そこで頭角を現した代表的な例が中川だ。彼は熊坂が6月のワールドカップアジア最終予選に臨む日本代表に招集されたときに、ルヴァンカップ・プレーオフラウンド第1戦の東京ヴェルディ戦で熊坂に替わってボランチとして抜擢された。

東京V戦ではチーム2点目も挙げた中川

 だが、中川は本来シャドーやサイドハーフの選手であって、ボランチが本職ではない。にもかかわらず、中川はプロ2度目の公式戦先発で不慣れなポジションを務めあげた。これはリカルド・ロドリゲス監督の明確な落とし込みの成果であり、それによって中川がやるべきことを整理してプレーできたからに他ならない。

……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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