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出会いはゲーム、情熱は国を越える。英国の5部クラブを応援する“スーパーファン”が現地観戦で体験した、奇跡のようなホントの話

2020.05.29

今年2月、英国『BBC』で1人の日本人サッカーファンが取り上げられ話題となったことをご存じだろうか。

写真の主は、“アキト”こと青木昭利さん。心のクラブはストックポート・カウンティ。マンチェスターの南東に位置するストックポートをホームとし、イングランド5部に所属している小クラブで、青木さんは現在、日本のファングループ「ストックポート・カウンティ ジャパン」を立ち上げ代表を務めてもいる。青木さんはどうやってストックポートと出会い、そしてここまで愛するに至ったのか。そして、念願叶って実現した現地観戦で待ち受けていた、思いもよらない体験の数々とは。 イングランドサッカーファン向けコミュニティ「プレミアパブ」を主宰する内藤秀明さんが本人を直撃した。

“なんとなく”で選んだ運命のクラブ


――まず、ストックポート・カウンティを応援するようになったきっかけからうかがってもよろしいですか?

 「僕は昔から、EA sportsのゲーム『FIFA』シリーズが大好きでした。そのFIFAで最後にストックポートが収録されていたのが『FIFA 11』だったんですが、その時にたまたま『キャリアモード』(FIFAの中で選手やチーム、および監督自身になってキャリアを進めていくモード)でストックポートを使うことがあって。それが直接的なきっかけですね」


――なぜその時ストックポートを選んだでしょうか?

 「キャリアモードを始める時、『一番下のディビジョンからクラブを選んだら面白いだろうな』と思ってイングランドの4部から探していたんですけど、その中で特に弱かったのがストックポートだったんです(笑)。でもエンブレムはかっこ良くて、なにか惹かれるものがありましたね」


――イングランドに対するこだわりはあったのですか?

 「それも特になくて、単純にFIFAの中で一番下のカテゴリーがイングランドの4部だったので『じゃあそこから選んでみよう』と思っただけなんです。他のリーグは1部とか2部だけだったりするので。いちおう、欧州主要リーグの中ではプレミアリーグがなんとなく気になってはいましたが、ストックポートを選んだことに対するこだわりはそれほどありませんでした」


―― 最初は一人ひとりの選手の名前すらもわからなかったと思いますが、プレーしていくうちに好きになっていったのでしょうか?

 「実は、キャリアモード自体はそれほど長続きしなくて……(笑)。僕が『FIFA 11』を買ったのがけっこう遅い時期だったので、すぐに次作の『FIFA 12』が発売されてしまったんです。だからストックポートをプレミアリーグ昇格まで持っていくことなく『FIFA 11』のキャリアモードは終わってしまいました(笑)。ただ、ある時ふと気になって調べてみたら、10-11シーズン終わりにストックポートはイングランド5部にあたるカンファレンスナショナル(現ナショナルリーグ)に降格してしまって、『FIFA 12』にはもう収録されていなかったんです」


――その時調べてみて愛着が湧いたのですか?

 「いや……正直その時も『マンチェスターの南の方にあるんだ』くらいにしか思いませんでした(笑)。でも、そのあたりからなんとなく追いかけ始めましたね」


――当時、映像は見ることができなかったと思いますが、どうやって追いかけていたのですか?

 「2012年頃はまだストックポートの公式YouTubeチャンネルもなくて、公式ホームページにマッチレポートが上がるくらいでした。あとは『Goal Live』のサイトなどでスコアの速報を確認したり。2013年の9月にようやくクラブ公式YouTubeチャンネルができて、そこで初めてハイライトを見ることができるようになりました」


――それで言うと、1990年代の日本のプレミアリーグファンと境遇が似てますね。当時は映像も満足に見られなくて、想いが募るだけという。

 「本当にそうだと思います(笑)。映像が見られなかった2012年頃は『この選手よく点を獲ってるなあ』くらいしか印象がありませんでしたからね」

かつてはあの最強クラブのライバルだった!?

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インタビューストックポート・カウンティ文化

Profile

内藤 秀明

1990年生まれ。大阪府箕面市出身。大学時代に1年間イギリスに留学し、FAコーチングライセンスを取得。現在はプレミアリーグを語るコミュニティ「プレミアパブ」代表としてイベントの企画運営や司会をしつつ、マンチェスターユナイテッド・サポーターズクラブジャパン会長としても活動。2019年1月に初の著書『ようこそ!プレミアパブ』上梓。Twitterアカウント:@nikutohide ウェブサイト:https://premierleaguepub.jp/