SPECIAL

“小さなネイマール”ロドリゴ。加入内定Rマドリー希望の星

2019.01.23

生まれはなんと2001年。昨年新設されたU-21版バロンドール「トロフェ・コパ(コパ・トロフィー)」の最終候補10人に最年少17歳で選出された俊英は、“小さなネイマール”と称されるトリッキーなドリブラー。その偉大な先達を輩出した育成の名門サントスが送り出す、正統後継候補である。

RODRYGO
ロドリゴ
(サントス/U-20 ブラジル代表)

 ロドリゴがプロデビューしたのは一昨年11月4日のブラジル全国選手権、ホームでのアトレチコ・ミネイロ戦だった。16歳で出場した同年のU-17サンパウロ州選手権では、22試合でなんと24得点。右利きなのに左足でも決め、ドリブルで4人を抜いてのゴールもあった。ネイマール後、最大の期待の星として話題をさらった。

 プロ契約を結んだのはその4カ月前のこと。当時、リバプールをはじめとするヨーロッパのクラブからオファーや打診が届く中、サントスは高額の給料だけでなく早い段階でのプロデビューも約束することで、5年間の契約にこぎつけた。

 サンパウロ郊外で生まれたロドリゴは、入団テストを受けてサンパウロに入ったが、10歳でサントスに引き抜かれこれが転機となる。

 右ウイングを基本としながら、トップ下に入りクオリティの高いボールを配給できることから、今ではロナウジーニョ的な選手とも見られている。ただ、当初からドリブルが得意なゴールゲッターでもある。スピード、敏捷性、フェイントなどの技術にゴールへの嗅覚。その素質は、ロビーニョやネイマールといったサントスのスターの典型だ。憧れは、そのネイマールと父のエリッキ。昨年7月までプロサッカー選手だった父を通してサッカー人生の厳しさや、プロとしての姿勢を学んできた。

周囲の繊細なバックアップを受けて

 サントスのジャイール前監督は、この至宝のプロとしての出発点に細心の注意を払った。今年に入り、最初の2カ月はベンチに置き後半に出場させた。当時から彼より背が高く、強い相手DFに対応できるフィジカルを備えてはいたものの、90分間のプレーにはまだ耐えられなかったからだ。また、指揮官は彼がのびのびとプレーするための雰囲気作りにも心を砕いていた。ロドリゴは笑って語っている。「試合前のミーティングで、監督はいつも選手が意見交換するための“お題”を出すんだけど、難しいテーマの時に限って僕に質問するんだ。チームメイトが僕の答えを聞いて、からかったり笑ったりするためにね。ジャイールはお父さんみたいな存在だけど、時どき裏切られるんだよね(笑)」

 そして、昨年3月15日。サントスが勝利したコパ・リベルタドーレスGS第2節ナシオナル戦で、ロドリゴはブラジル人としては大会史上最年少となる17歳2カ月6日でゴールを決めた。

 この試合直後、彼が自身のInstagramに、ユーモアを交えて「ごめんね、先生。学校を休んだけど、ちゃんと理由があるんだ。素晴らしい夜だよ!」と投稿したことは、今でも語り草になっている。

 その3カ月後、ロドリゴはレアル・マドリーと2025年までの契約を結んだ。契約金は4500万ユーロ。欧州の来シーズンが始まる2019年7月にスペインへ渡る予定だ。

 ブラジル代表監督のチッチは、フィジカル面の成長を待つためにA代表に招集こそしていないが「彼は器用だし、知性でプレーできるから攻撃力がものすごく高い」と期待を口にしている。

 彼の急上昇の秘密については、ブラジルでも多くのメディアが分析している。才能や生い立ちなど多岐にわたる要因の中でも、大事な一つがロビーニョやネイマール、そしてロドリゴと継続してタレントを生み出してきたサントスの育成システムだろう。

 下部組織コーディネーターであるロナウド・リマが説明するのは、「10歳の時にU-11からスタートすれば、その選手をプロにするためにクラブには11年間という時間が与えられる」という考え方だ。

 U-11からU-20まで、合わせて約280人の少年たちが所属する中、カテゴリーごと、選手ごとにプロジェクトが作られ、育成のプロフェッショナルたちが指導する。下部組織とプロの垣根は低い。可能性の高い選手がいれば、U-15やU-17所属でも週1回はプロチームと一緒に練習させる。また今年3月には、フットサル部門がサッカーの下部組織に組み込まれた。ブラジルでは、フットサルはサッカーで成功するための入り口の一つと見られており、その連携を強化するためだ。

 法律で雇用契約が許される16歳になるまでは、クラブは選手の家族と「育成契約」を結び生活面を援助する。期待される選手であれば、プロにも負けない金額になるという。また地方の選手であれば、家族がサントスに引っ越して生活するための援助も行われる。

 サントスの緻密なプロジェクトによって育てられた18歳のロドリゴが、来年、どこまで成長してスペインでお披露目されるのか、世界中のサッカーファンの楽しみが、また一つ増えた。

■Profile
生年月日:2001.1.9(18歳)
国籍:ブラジル
出身地:オザスコ
身長/体重:173cm|63kg
ポジション:FW
背番号:9
クラブ経歴:サントス(2011-)
トップ初出場:2017年11月
2017公式戦:2試合0得点
2018公式戦:51試合10得点

■Keywords
サントスのDNA
スピード、フェイント、ゴールへの嗅覚。ロビーニョやネイマールといった先達を彷彿とさせる彼の才能は、こう称される
バルセロナから超早期オファー
あまりに幼かったためブラジルに留まることを決断したが、U-11時代、早くもバルセロナからのオファーが届いていたという
ネイマールジーニョ
U-11の頃から“小さなネイマール”が呼び名。本人いわく「髪型も真似たけど、一番似ているのはプレースタイル」とのこと
叶わなかった“親子共演”
プロ選手の父に「僕の方がうまい」と言いつつ一緒にプレーする日を夢見ていたが、父は昨年34歳で現役引退を決断した
大親友ビニシウス
1年早くレアル・マドリー入りした18歳とは親友同士。彼がリベルタで2点を決めた時は速攻でおめでとうメッセージを送っていた


Photos : Getty Images

TAG

サントスレアル・マドリーロドリゴ

Profile

藤原 清美

2001年、リオデジャネイロに拠点を移し、スポーツやドキュメンタリー、紀行などの分野で取材活動。特にサッカーではブラジル代表チームや選手の取材で世界中を飛び回り、日本とブラジル両国のTV・執筆等で成果を発表している。W杯6大会取材。著書に『セレソン 人生の勝者たち 「最強集団」から学ぶ15の言葉』(ソル・メディア)『感動!ブラジルサッカー』(講談社現代新書)。YouTube『Planeta Kiyomi』も運営中。