SPECIAL

「メタゲームの概念」が示す、ミッティランとブレントフォードの勝利の方程式

2024.01.19

現代のフットボールは「メタゲーム」と言われている。ピッチ上の戦術・スキルを競う以前に、データ分析やスカウティングメソッドなどピッチ外の取り組みの時点で優位性が発生しているのは、今や当たり前の事実だろう。では、メタゲームで勝つためには何が必要なのか——先進的な施策を進めるミッティランやブレントフォードを例に考えてみよう。

 「メタ」という単語の起源はギリシャ語にある。その意味は「上位の」というものであり、「メタゲーム」は「ゲーム環境を超えたところで行われるゲーム」や「ゲームの中でプレーされるゲーム」という意味で用いられることが多い。このメタゲームという言葉が表す意味は、決して狭くはない。フットボールというゲームの外で、ゲームに勝つために行われる準備こそがメタゲームだ。両チームの対戦は、ピッチ上の戦術やスキルだけで決まるものではない。それまでの準備こそ、重要になる。

 例えば、通常の試合を想像してみよう。

 両方のチームが、それぞれのポジションに同じ能力の選手を揃えていると仮定したとする。片方のチームは十分にトレーニングを重ねており、多くのスポーツ科学者や栄養学者を揃え、戦術的に優れた監督を有している。一方で片方のチームは試合の30分前に集められ、即席の戦術でプレーしなければならない。その場合、勝利するのはどちらのチームだろうか?……

残り:3,024文字/全文:3,590文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

ブレントフォードミッティラン

Profile

結城 康平

1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。

RANKING