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ドリブル中に相手を支配、静止させることも可能。探究心の塊、徳島・西谷和希のマニアックドリブル道

2023.10.13

J2屈指のドリブラー、西谷和希の探求心は半端ではない。自分の身体を自在に動かすために、他分野でも取り入れられるものは取り入れ、変化することを厭わず、進化を遂げてきた。話を聞けば、あらゆる方面にアンテナを立て、探求するベクトルも実にマニアックだ。
優れたドリブラーである西谷が日々深掘りするドリブルに通ずる身体の動かし方などについて、じっくりと耳を傾けてみた。

潜在能力を引き出し、すべての能力を上げる

 自分が意図したとおりに身体を動かせるから主導権が握れる――。目指すは「完全勝者」。徳島ヴォルティス、西谷和希のマニアックドリブル道。

 「俺はドリブルにめっちゃこだわりがあるわけではないです」(西谷和希)

 『西谷和希のマニアックドリブル道』。

 編集部から依頼された面白そうなタイトルに惹かれて考察と取材を進めた。導入としてタイトルの裏切りのようなコメントの切り取り方から始めてみたが、もちろん本当の意味でこだわりがないわけではない。ドリブルも西谷にとってはサッカーにおける part of something。そこに対して、どういうスタンスで向き合っているのかを探った。

 鳥山明先生の漫画『ドラゴンボールZ』でナメック星へ行く物語があるが、その中でクリリンや孫悟飯らの主人公たちが最長老というナメック星人から“潜在能力”を引き出してもらう場面が描かれている。西谷が取り組んでいるものもそれに似ている。

 「すべての能力を上げるようなイメージ」(西谷)。

 全身に働きかけ、いわゆる“身体操作”に取り組んで、自分の意図したとおりに体を動かすためのトレーニングに多くの時間を費やしている。

Photo: Satoshi Kashihara

トレーニングに武道も取り入れる研究熱心ぶり

 西谷が徳島へ加入したのは2020年。

 人となりを知ることも『マニアックドリブル道』につながるのではないかと思って経緯を紹介すると、徳島へ加入するまでに「2度ふられています(苦笑)」(岡田明彦強化本部長)。その理由を本人に聞くと「初めてオファーをいただいたのは18年の夏でした」(西谷)。その時期は自分が生まれ育った地元のクラブであり、所属していた栃木がJ3降格を経験してJ2復帰を果たした直後のシーズンだった。「チーム事情も考えると、今、自分が抜けることで迷惑をかけるのではないかと考えて“いまはまだ”という返事になりました。栃木は決して強いチームではないかもしれませんが自分の地元です。攻撃的なチームで挑戦してみたいという気持ちもありましたが、同時に栃木がJ2にいる基盤を作ってからという想いもありました」(西谷)という理由も含めて栃木を離れることはなかった。人間味の溢れる、豊かな精神を備えている選手である。……

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西谷優希西谷和希

Profile

柏原 敏

徳島県松茂町出身。徳島ヴォルティスの記者。表現関係全般が好きなおじさん。発想のバックグラウンドは映画とお笑い。座右の銘は「正しいことをしたければ偉くなれ」(和久平八郎/踊る大捜査線)。プライベートでは『白飯をタレでよごす会』の会長を務め、タレ的なものを纏った料理を白飯にバウンドさせて完成する美と美味を語り合う有意義な暇を楽しんでいる。

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