SPECIAL

PSGジャパンツアー総括。22-23シーズン開幕に向けた8つの注目ポイント

2022.07.31

7月31日開催のフランススーパーカップにリーグ1王者として臨むパリ・サンジェルマン。プレシーズン中に敢行したジャパンツアーで日本を沸かせたスター軍団は、ついに幕を開ける2022-23シーズンでどのような戦いぶりを示すのか。8つの注目ポイントを現地フランスで取材する小川由紀子氏に教えてもらった。

ジャパンツアーの位置づけ

 7月下旬の日本サッカー界を、大いに盛り上げたパリ・サンジェルマンのジャパンツアー。プレシーズンに普段訪れる機会の少ないアジア大陸やアメリカ大陸に飛ぶのは、PSGにとって重要なプロモーション戦略で、アジア向けの拠点が置かれているシンガポールを2018年、翌年は中国、そして2021年にはアメリカを訪問している。日本行きもかなり前から計画されていたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で伸び伸びになり、ようやく今回実現が叶ったのだった。

 7月17日に日本に到着した彼らは、20日に国立競技場で川崎フロンターレ、23日に埼玉スタジアム2002で浦和レッズ、25日にパナソニックスタジアム吹田でガンバ大阪と対戦。さらに数日間日本に滞在して、昨年のフランス杯王者ナントと激突するトロフェ・デ・シャンピオン(スーパーカップ)が行われるイスラエルへ直接飛ぶ予定だったが、集中力高くトレーニングに臨める自分たちの練習場へ戻るため、一行はG大阪戦後にそのまま飛行機に乗り込み一時フランスへと帰国した。

 この間、ヨーロッパも40℃を越す熱波に襲われていたから、気温はどっこいどっこいだったが、アジアの湿気は慣れない欧州の人々にはかなり堪える。それを避けるために夕方から夜にかけてトレーニングを行い、疲れもしっかり取れないうちに翌日は午前中から各種イベント……と、体力的な消耗が激しかったのも日本滞在を一足早く切り上げた理由の一つだ。

 実際のところ、7月5日に選手たちと初対面した新監督のクリストフ・ガルティエにとっては就任後最初のトロフィーが懸かった31日のナント戦まで、「できる限り多くの時間がほしい」というのが本音だったはず。キリアン・ムバッペ(フランス)やパブロ・サラビア(スペイン)といった欧州各国の代表組に至っては1週間合流が遅れたため、ツアーに出発する週の初めに練習場に戻ったばかりだった。もちろん各自休暇中にフィジカルトレーニングを積んでいたとはいえ、合流後はメディカルチェックなどもあり、本格的な練習を行えたのはせいぜい3、4日。一部のメンバーだけで15日にリーグ2のクビリーとプレシーズン最初の対外試合を戦ってはいるが、日本での3試合こそが新シーズンに向けたチーム構築を行う上で、非常に重要なテストマッチだった。

 結果は川崎戦が2-1、浦和戦が3-0、G大阪戦が6-2と、いずれもPSGが勝利。最初の2戦はPSG陣営に試行錯誤する様子が見られたが、3戦目のG大阪戦は、61分からピッチに立ったムバッペを除くスタメン候補10人が先発とほぼフルメンバー。スタンドまで「下がるな~!」という怒声が聞こえるほど果敢にラインを上げて応戦したG大阪側の気合に触発されるように、PSGも中1日とは思えない本気モードで応戦。試合後には2点を決めたネイマールも、「とてもスタミナのあるダイナミックなチームで僕はとても好き。とくにプレスをかけてくるのはとても好きなスタイルで、楽しい試合だった」と感想を口にしたほどだった。

計8ゴールが飛び交う乱打戦となったG大阪戦のハイライト動画

8つの注目ポイント

……

残り:4,715文字/全文:6,163文字 この記事の続きは
footballista MEMBERSHIP
に会員登録すると
お読みいただけます

TAG

パリ・サンジェルマン

Profile

小川 由紀子

ブリティッシュロックに浸りたくて92年に渡英。96年より取材活動を始める。その年のEUROでイングランドが敗退したウェンブリーでの瞬間はいまだに胸が痛い思い出。その後パリに引っ越し、F1、自転車、バスケなどにも幅を広げつつ、フェロー諸島やブルネイ、マルタといった小国を中心に43カ国でサッカーを見て歩く。地味な話題に興味をそそられがちで、超遅咲きのジャズピアニストを志しているが、万年ビギナー。

RANKING