転機は筑波でのサイドバック転向。山原怜音が振り返るプロまでの道のり
大卒ルーキーは“即戦力”と言われるものの、開幕からレギュラーポジションを奪取し、出続けることは簡単ではない。J1となると更に難易度が高まる。
その困難なミッションを達成したのが、筑波大学から清水エスパルスに加入した山原怜音だ。正確無比な左右両足のキックと両サイドバック&サイドハーフをこなすユーティリティ性を武器に、主力の座を築こうとしている。そんな山原だが、“サイドの選手”となったのはなんと大学から。サッカー人生におけるターニングポイントとなったポジション変更をはじめ、筑波大学での4年間はどのように山原の成長に寄与したのだろうか。
そして、山原が語る“大卒Jリーガー”が活躍する理由とは。
「“ボールを蹴る”ことすべてが武器」
――開幕スタメンも勝ち取り、良いスタートかなと思います。振り返ってみていかがでしょう?
「開幕する1週間前ぐらいまでは、自分がスタートから出るという自信を持っている状態ではありませんでした。ここから少しでも出られるようにアピールしていかないと、と思っていたんです。ただ、サイドバックとサイドハーフの両方ができる強みが活きて開幕からリーグ戦で2試合、サイドハーフとして出られました。良いスタートができたかなと。ただ、早い時間帯での途中交代もありましたし、ゴールに絡むプレーを含めて心から満足できるプレーはできていません」
――自信を持っているキックのところは出せているのではないでしょうか。
「ただ、まだ存分に出せていないかなと。試合の展開的にも、相手チームに主導権を握られることが多く、自分たちが押し込む場面が多く作れてはいないので。ミドルシュートやクロスという特徴が出せるのは押し込んでいる時なので。そこまで個人としてもチームとしても行けていない現状がある。そういう意味ではまだ物足りないですね。
キックは本当に自信を持っている部分でもあります。止めて蹴る、パス&コントロールもそうですし、クロスも、シュートもスルーパスも。“ボールを蹴る”ことすべてが武器だと思っていて、練習中からその特徴を出せている場面もあると思います。ただ、まだ試合が3節しか終わっていない。そこでゴールに直結するプレーができていないので、ピッチの中で結果を示したいなと思っています」
――キックの質が武器になった背景について教えていただきたいです。小学校のときに公園で壁当ての練習をしていたんですよね?
「小学生のときに所属していた京都紫光SCがボールコントロールを大事にするクラブで、それが原点ですね。クラブでの活動以外、学校の休み時間から放課後の遊びに至るまで、とにかくサッカーばかりしていたんです。そこでキックをメインにした遊びを考え、友達とやっていました。壁の決まったところに何回当てられるか、とか。その積み重ねが今に繋がっていると思います。サッカーをしていた兄が2人いるのですが、彼らもキックが上手だったんです。『自分もあんなキックを蹴りたい』と思っていて、真似ていたのも大きかったですね。かなり幼い頃から『自分はキックが上手い選手になるんだ』と思いながらサッカーをしてきたのですが、それが今に生きていますね」
筑波の分析班が貢献
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Profile
竹中 玲央奈
“現場主義”を貫く1989年生まれのロンドン世代。大学在学時に風間八宏率いる筑波大学に魅せられ取材活動を開始。2012年から2016年までサッカー専門誌『エル・ゴラッソ 』で湘南と川崎Fを担当し、以後は大学サッカーを中心に中学、高校、女子と幅広い現場に足を運ぶ。㈱Link Sports スポーツデジタルマーケティング部部長。複数の自社メディアや外部スポーツコンテンツ・広告の制作にも携わる。愛するクラブはヴェルダー・ブレーメン。