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「変則日程」と「招集問題」。コロナ禍のW杯最終予選、日本代表を襲う2種の逆風を追い風に変えられるか

2021.09.02

6大会連続参戦で「出場」が当たり前になったW杯。しかし歴史が示す通り、アジア最終予選を突破するのは簡単ではない。しかも、今回はコロナ禍での「変則日程」や「招集問題」という予測不能なファクターもある。各年代の日本代表を継続取材する川端暁彦氏に、本日から始まる最終予選に臨む森保ジャパンの戦略的なポイントを予測してもらった。

 9月2日、いよいよW杯アジア最終予選が始まる——という表現は正しくないかもしれない。「W杯最終予選しかなくなる」。実際のカレンダーを観れば、こちらが妥当な表現だろう。

親善試合がない=テストができない

 6チームによるホーム&アウェイ2回戦総当たり方式で争われるアジア最終予選は、9月、10月、11月、1・2月、そして3月に、それぞれ2試合ずつの計10試合を消化する。この期間のインターナショナルマッチウィークはすべて最終予選になるわけだ。2018年ロシアW杯の最終予選は合間に親善試合を挟む余地があったし、2014年ブラジルW杯予選までは5チーム総当たりだった関係から、さらにマッチメークの自由度があった。だがコロナ禍での延期を経た今回の予選に“遊び”の要素はない。ひたすら予選が続いていくカレンダーだ。

 別にそれはそれでいいじゃないかという見立てもあるだろうが、来年のW杯で勝つという視点で考えると、現行のチームをブラッシュアップしていく作業は不可欠。五輪を終えて2つのカテゴリーが1つのカテゴリーへ統合される中で、試したいことが多々出てくるのも当然だろう。しかし「絶対に負けられない戦い」(テレビ朝日さん)である予選をテストに充てると言えるものではない。

 集まれる機会が絶対的に少ない代表の強化という意味では、この半年でしっかりトレーニングもしていきたい。しかし目前の予選に勝つという点で言えば、何より大事なのはコンディショニングだ。アジアの多彩な気候に対し、日本と欧州各国、バラバラの気候でプレーし、スケジュールもそれぞれの選手たちのコンディションを揃えるのは容易ではない。今回もオマーンとの初戦を前に全員が揃ってマトモな戦術的な練習をできたのはたったの1回。さらにこのあと待っているのはカタールへ長距離移動……。これを繰り返すしかないのが最終予選だ。

 一方、対するオマーンは、セルビアでの1カ月にわたる長期合宿を経て、日本チームが集合するどころか各所属チームでリーグ戦を戦っていた先週土曜日(8月28日)に早くも来日して練習を重ねてきている。コンディションでもチームとしての戦術的な支度という意味でも、日本を上回っているであろうことは想像に難くない。予選は勝って当然のプレッシャーがある国と、負けて元々でチャレンジする国との“非対称戦”という心理的な難しさがあるのはよく言われることだが、そもそも準備の部分でも差がある。それを考えると、やはり予選で“遊び”の要素はない。

前回激突した2019年のアジアカップGSでは、日本が0-1で辛勝。一方の惜敗したオマーンは雪辱を果たすべく、着実に準備を進めてきている

五輪のメリット=ラージグループの存在

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文化日本代表

Profile

川端 暁彦

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開。古巣『エル・ゴラッソ』を始め各種媒体にライターとして寄稿する他、フリーの編集者としての活動も行っている。著書に『Jの新人』(東邦出版)。