
20201年5月下旬に話題となったエメリク・ラポルトのスペイン代表としてのEUROメンバー入り。グアルディオラが「欧州最高の左CB」と言うタレントさえチームに入れず、候補者たちで3、4組は世界トップクラスのCBペアを作れるのが現在のレ・ブルーだ。それはなぜなのか? 文化、指導法、環境などからフランス特有のDF育成事情に迫る。
『フットボリスタ第85号』より掲載
一般的にDF、とりわけCBの育成は難しいと言われている。まずGKと同じく、長身で体格がいい、というフィジカル的な基準があるため、適応者が限られる。そして経験とともに能力が開花していくポジションであることから、早い段階での見極めが難しい。そうやって苦心して育てても、攻撃手に比べて移籍金が低いことが多く、財政的な見返りが少ないため、育成型クラブであっても攻撃手のように専門のコーチをつけるといった投資をしていない。
しかしそんな状況の中、EURO2020に出場したフランス代表のメンバー選考で、攻撃的MFと並んで激戦区となったのがCBだった。
最終的に選出されたのは、2018年のW杯優勝メンバーであり、現在このポジションのヒエラルキーの頂点にいるラファエル・バラン(レアル・マドリー)とプレスネル・キンペンベ(パリ・サンジェルマン)。EURO予選からレギュラーに定着しているクレマン・ラングレ(バルセロナ)、2013年にA代表入りと古株だがビッグトーナメントの出場経験はないクル・ズマ(チェルシー)。そしてA代表未経験だったセビージャ所属の22歳、ジュール・クンデが選ばれるサプライズもあった。
彼らの他にも、今夏バイエルンに加入したダヨ・ウパメカノ(22歳)や、昨季サンテティエンヌから移籍したレスターで活躍したウェスレイ・フォファナ(20歳)をはじめ頼もしい若手も控えている。また、そんな熾烈な争いを回避すべく、U-21までフランス代表でプレーしていたマンチェスター・シティのエメリク・ラポルトはスペイン代表に転向し、今回のEUROにはラ・ロハの一員として参戦した。

優秀なCBが育つ文化、指導法、環境
……
残り:2,752文字/全文:3,665文字
この記事の続きはプレミア会員
のみお読みいただけます
プレミア会員3つの特典
-
会員限定のオリジナル
記事が読み放題! -
電子版バックナンバーが
読み放題! -
雑誌最新号を毎月
ご自宅にお届け



Profile
小川 由紀子
1992年より欧州在住。96年から英国でサッカー取材を始め、F1、自転車、バスケなど他競技にも手を染める。99年以来パリに住まうが実は南米贔屓で、リーグ1のラテンアメリカ化を密かに歓迎しつつ、ブラジル音楽とカポエイラのレッスンにまい進中。