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ドイツの戦術サイトが総力を結集した、グアルディオラ戦術徹底分析#6_“スペース=時間”で見るペップ流ポジショナルプレー

2021.08.08

ハーフスペース」をはじめとした戦術用語の詳細な解説やチーム戦術の分析を行い、寄稿者の中からレネ・マリッチらプロのコーチに転身する人材も輩出しているドイツの戦術分析サイト『シュピールフェアラーゲルンク』。サッカー関係者からも一目置かれる存在の同サイトがこの春、2020-21に破竹の勢いで勝利を重ねたグアルディオラの最新戦術について徹底分析した記事を公開した。分析には、ハイデュク・スプリトのセカンドチームでコーチを務めたマルティン・ラッフェルトら複数のライターが参加。さらに、レネ・マリッチもフィードバックやアドバイスを行っている。今回は 『シュピールフェアラーゲルンク』 の許可を得て、珠玉の分析記事を全編翻訳し公開する。

最終となる第6回では、現在のマンチェスター・シティのスタイルを、 ポジショナルプレーの前提条件となる“スペース=時間”というコンセプトと関連図付けながら総括する。

第5回はこちら

新しい問いが必要

 この小さなブレインストーミングを終わらせるためにまとめれば、グアルディオラは同じコインの両面の問題を解決したと言える。ラ・マシアの卒業生たち(とりわけ繰り返すのが、アルサッドの監督を務めるシャビだ)が言うところの“スペース=時間”だ。そのコンセプト自体は直線的で、一見すると複雑なところはない。最終的に、それは特定のポジショナルプレーの解釈やアイディアを行う上での前提条件だ。それは本来、サッカーが一般的にピッチ上で機能する上で基盤となるものだ。

 『Spielverlagerung.de』でも(古典的な)ポジショナルプレーの原則をまとめた記事がありその中でも触れているのだが、“スペース=時間”というコンセプトをマンチェスター・シティのプレースタイルと交えながらあらためて説明していきたい。この“スペース=時間”というコンセプトに関係付けながら、シンプルで客観的な解釈ができるようになる。

 まずは、ピッチ上のスペースが“操作”されなければならない。そして、それはチーム全体の各選手のポジショニングによって行われる(例を挙げると、Domagoj Kostanjšakのものがある)。……

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ジョセップ・グアルディオラマンチェスター・シティ戦術

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シュピールフェアラーゲルンク

2011年のWEBサイト立ち上げ以来、戦術的、統計的、そしてトレーニング理論の観点からサッカーを解析。欧州中から新世代の論者たちが集い、プロ指導者も舌を巻く先鋭的な考察を発表している。こうしたプロジェクトはドイツ語圏では初の試みで、13年には英語版『Spielverlagerung.com』も開始。監督やスカウトなど現場の専門家からメディア関係者まで、その分析は品質が保証されたソースとして認知されている。

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