ドイツ2部に近年ポジショナルプレーの信奉者たちの大きな注目を集め、若手監督の登竜門となっている特殊なクラブがある。ティム・ウォルターというドイツ屈指の戦術狂が始めた壮大な実験を紹介したい。
※『フットボリスタ第83号』より掲載
ドイツのキールを本拠地とするホルシュタイン・キールは、1900年に設立されたクラブだ。第二次世界大戦以降はドイツ下部リーグに在籍しており、2016-17シーズンに2部昇格。クラブの悲願であるブンデスリーガ昇格を目標に掲げている彼らは、ここ数年「先進的な若手指導者の抜擢」で知られている。
バイエルンのリザーブチームから招へいされたティム・ウォルターは、1シーズンで名門シュツットガルトへとステップアップした。成績不振により2019年12月に解任されてしまったが、彼の戦術アプローチは欧州の指導者コミュニティで現在も注目を集めている。アイルランド人の若手指導者であり、いくつかの戦術分析メディアにレポートを寄稿しているパトリック・ミルズは、ウォルターを「欧州のフットボール界で、最も革命的な監督の1人」とまで評した。そのウォルターだけでなく、現在の指揮官は32歳のオレ・ベルナー。2013年から自クラブのユースやリザーブチームで指導者を務めていた彼を大胆に抜擢し、人々を驚かせた。
今回は、そんなホルシュタイン・キールがどのようにドイツ2部にイノベーションを巻き起こしてきたのかを紹介していこう。
度肝を抜いた「掟破り」のビルドアップ
……
TAG
Profile
結城 康平
1990年生まれ、宮崎県出身。ライターとして複数の媒体に記事を寄稿しつつ、サッカー観戦を面白くするためのアイディアを練りながら日々を過ごしている。好きなバンドは、エジンバラ出身のBlue Rose Code。
関連記事
関連記事
2024.08.01
パリ五輪代表の戦術的GS総括。3連勝以上に大切なA代表の文脈の先にある“答え”
2024.01.09