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26年所属したクラブが破産し無所属となるも、ライバルからのオファーを固辞し“古巣”へ。「ミスター・ロケレン」が貫いた「真のクラブ愛」

2020.11.18

フットボールのビジネス化に伴い、一つのクラブで現役生活をまっとうするプロ選手は絶滅危惧種となって久しい。そんな現代にあって、ユースからずっと所属してきたクラブが破産し吸収合併されるという悲劇に遭ってなお、クラブへの忠誠を崩さなかった選手がいる。ベルギーで話題となった“ワン・クラブ・マン”のストーリー。

 去る11月5日、元ベルギー代表MFキリアン・オーフェルメイレが、ベルギー4部リーグに所属するロケレン・テムセと契約を結んだことがクラブから発表された。

 若手時代は同世代のトーマス・フェルマーレンとともに将来を期待され、各年代代表に選ばれていたオーフェルメイレ。2008年にはベルギー代表として1試合に出場している。9歳だった1994年にスポルティング・ロケレンの下部組織に加入し2003年に18歳でプロデビューすると、2020年4月まで26年間、ロケレン一筋でプレーし500試合以上に出場。定評のある球際の強さとロングフィードを駆使し、優れたキャプテンシーを発揮して10年以上も主将を務めた34歳は「ミスター・ロケレン」「キング・オブ・ダクナム」と呼ばれ、クラブの象徴としてチームをけん引し続けてきた。

2008年、U-21代表の試合でメスト・エジルとマッチアップするオーフェルメイレ

 その間にクラブは2度のベルギーカップ優勝(2011-12、2013-14)を経験したほか、2014-15シーズンのELでは予選プレーオフでイングランドのハルを破り本戦出場を果たしている。……

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キャプテンキリアン・オーフェルメイレロケレン

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シェフケンゴ

ベルギーサッカーとフランス・リーグ1を20年近く追い続けているライター。贔屓はKAAヘントとAJオセール。名前の由来はシェフチェンコでウクライナも好き。サッカー以外ではカレーを中心に飲食関連のライティングも行っている。富山県在住。

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