ルーキーが正確に見つめる自信の現在地。柏レイソル・山之内佑成がたどる「チームの軸」への成長過程
太陽黄焔章 第35回
新たな役割を与えられたルーキーが、存在感を示している。その人は東洋大から柏レイソルに加入した山之内佑成。昨季も特別指定選手としてルヴァンカップ決勝にスタメン出場した期待の新鋭は、ウイングバックから3バックの右というポジションへとコンバートされたことで、見える景色の変化を実感しているという。改めてプロサッカー選手となったことで味わっている今のリアルな心情を、鈴木潤がすくい取る。
ウイングバックからセンターバックへ。浦和戦で見えた景色
一人のルーキーが確実に存在感を示している。東洋大学から加入した山之内佑成だ。
百年構想リーグは開幕から10試合を消化し、山之内はそのうち9試合に出場している。さらに特筆すべきは、起用されているポジションだ。大学時代までは主に左サイドバックを主戦場としていたが、柏では左右のウイングバックに始まり、直近4試合では3バックの右を任されているのだ。
大卒ルーキーとしては上々の滑り出し。だが、本人の言葉は意外なほど冷静だ。
「うまくいっているときも少しあれば、うまくいかないときの方が多かったという感覚ですね」
この自己評価は謙遜というより、むしろ客観的な視点で自分自身の現在地を正確に言い表していると言っていいだろう。
山之内はもともとサイドバックの選手だ。東洋大学では左サイドバックとして攻撃参加の感覚を磨き上げ、昨シーズン終盤には特別指定選手として柏の試合にも出場。主に右のウイングバックで起用され、負傷で離脱していた久保藤次郎の穴を埋めてみせた。
その流れを受けて、ルーキーイヤーの今季も左右のウイングバックで出場していたが、大きな転機となったのは百年構想リーグ第7節・浦和レッズ戦だった。
後半立ち上がりに浦和の先制を許した柏だったが、60分に3バックの右として投入された山之内の攻撃参加を機に流れが変わった。柏が浦和を押し込み始め、山之内のクロスから放った久保のシュートはGK西川周作のファインセーブに阻まれたものの、そこで得たCKから瀬川祐輔が同点ゴールを決めた。攻勢に出た柏は逆転勝利には至らずも、土俵際まで浦和を追い詰め、最後はPK戦の末に勝利を掴み取った。
戦術的な要所。「3バックの右」というポジションへの適応
「今回、山之内佑成は右センターバックで初めて出場しましたが、攻撃の面で大きく貢献してくれたと思います。久保藤次郎は少し疲労もあったのか、攻撃のところでスピードに乗りきれない場面もありましたが、山之内の投入によって右サイドの攻撃が活性化したと思っています」
リカルド・ロドリゲス監督も、この日の山之内のプレーを高く評価していた。そして以降、山之内は継続して3バックの右で起用されていく。
ウイングバックから一列下がったことで、彼の中でピッチ上の景色が変わった。
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Profile
鈴木 潤
2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。
