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がんばれファンジン!紙離れの時代にも生き残るサポーター魂の結晶、英国サッカー文化の一部

2026.03.07

Good Times Bad Times 〜フットボール春秋〜 #26

プレミアリーグから下部の下部まで、老いも若きも、人間も犬もひっくるめて。フットボールが身近な「母国」イングランドらしい風景を、在住も25年を超えた西ロンドンから山中忍が綴る。

footballista誌から続くWEB月刊連載の第26回(通算260回)は、英国のサッカー文化を彩ってきた“FANZINE”について、創刊39年目で第400号に到達した、QPRの『AKUTRs』に宿るサポーター魂を共有したい。

西ロンドン青白横縞派の美しき情熱と忠誠

 「西ロンドンで最もイケているクラブ」――去る1月29日に手に取った雑誌には、そうあった。残念ながら、贔屓(ひいき)にしているチェルシーのことではない。テムズ川沿いのメインスタンド屋上にプールができたフルアムでもなければ、開幕前には降格が危惧されていながら堂々プレミアリーグ7位(本稿執筆時点)のブレントフォードでもない。

 それは、前回の降格からチャンピオンシップ(2部)で11年目を過ごしている、クイーンズ・パーク・レンジャーズ(QPR)のこと。ファンジン(同人誌)の『A KICK UP THE Rs』(AKUTRs)で目にした表現なのだから、当然ではある。それにしても、サポーターの情熱と忠誠とは美しい。

(Photo: Shinobu Yamanaka)

 QPRが由緒あるクラブであることは間違いない。創設された1882年以来の歴史は、現代のビッグクラブに数え入れられるチェルシーよりも長い。1992年にフットボールリーグ(現2〜4部)から独立した、プレミアの創立メンバーでもある。90年代半ば頃までは、欧州での知名度も西ロンドン随一。当時、大陸からチェルシー戦に遠征してきたチームのバスが、勘違いしてQPRに行ってしまうという珍事もあった。

 とはいえ今世紀の実像は、過去25年のうち22年間を、3部落ちを含む下部リーグで過ごしているクラブになる。それでもなお、地元の青白横縞派にとっては、最も魅力的であり続けるのだ。

 ファンジンは、そんなサポーター魂の結晶の1つ。1月24日のレクサム戦で売り出された『AKUTRs』は、記念すべき第400号。記念号が出ると教えてくれたのは、近所に住む犬の散歩仲間で、QPR一筋のチャールズ。ロフタスロードにシーズンチケットを持つ彼は、鎖骨が折れ、肋骨にひびが入っていても、ホームゲーム“欠席”は1試合だけだったはずの筋金入りだ。

 筆者はというと、この国のサッカー文化の一部である、観戦プログラムやファンジンの“ファン”。第400号発売日は、同時刻開催だったフルアム戦の取材があったため、「お代は結構」というチャールズの言葉に甘え、5日後に頂戴した『AKUTRs』を拝読させてもらった。

1月31日にロフタスロードのピッチで祝福と喝采を浴びたデイブ・トーマス氏(後述)

ネットがない時代の、ファンによるファンのためのプラットフォーム

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Profile

山中 忍

1966年生まれ。青山学院大学卒。90年代からの西ロンドンが人生で最も長い定住の地。地元クラブのチェルシーをはじめ、イングランドのサッカー界を舞台に執筆・翻訳・通訳に勤しむ。著書に『勝ち続ける男 モウリーニョ』、訳書に『夢と失望のスリー・ライオンズ』『ペップ・シティ』『バルサ・コンプレックス』など。英国「スポーツ記者協会」及び「フットボールライター協会」会員。

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