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「ふり向くな君は美しい」? 高校サッカーとドイツの現場で感じた“アンセム”の文化

2025.02.07

遣欧のフライベリューフリッヒ#11

「欧州へ行ってきます」。Jリーグの番記者としてキャリアをスタートさせ、日本代表を追いかけて世界を転戦してきた林遼平記者(※林陵平さんとは別人)はカタールW杯を経て一念発起。「百聞は一見にしかず」とドイツへの移住を志した。この連載ではそんな林記者の現地からの情報満載でお届けする。

今回のテーマは“アンセム”。久々の帰省で日本に来た林記者は全国高校サッカー選手権大会を訪れて、あらためて“アンセム”の意味を実感。ドイツの現場で感じていたこと、「アンセムも採点」してしまうドイツの文化などについて語った。

高校サッカーとドイツの現場で

 ドイツへと移住して1年半が過ぎ、先日、久々に日本に帰るタイミングがあった。

 「日本も物価が上がっている」なんて話を聞いていたのだが、どの店に入ってもドイツと比べるとまだまだ安い。

 「この金額で、これだけ美味しいものが食べられるなら世界一だろ」

 そんなことを思えたのも、日本を飛び出したからこそだろう。

 帰省中に全国高校サッカー選手権を見に行く機会があった。取材ではなく知り合いと観戦しにいった程度だが、その時に話題となったのが高校サッカーの大会歌となっている「ふり向くな君は美しい」だ。

 かつて高校選手権を目指していた一人(強い高校ではなかったのでかすりもしなかったけれど)というのもあるが、やはり高校サッカーのイメージと一体化している大会歌への思い入れは強い。

 あの曲が流れたら「高校サッカーを見にきたんだな」と思えるし、時代が変わっても文化として根強く残っていることを実感させられる。みんなで熱唱するわけではないという点で言えば、チャンピオンズリーグアンセムのような定着の仕方でもあり、「曲の影響で高揚感があるね」なんて話をしていたのである。

開会式の選手入場でも演奏された「ふり向くな君は美しい」

ドイツの“アンセム”事情

 それはフライブルクの試合を取材に行った時だった。……

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Profile

林 遼平

1987年生まれ、埼玉県出身。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることに。帰国後、サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の川崎フロンターレ、湘南ベルマーレ、東京ヴェルディ担当を歴任。現在はフリーランスとして『Number Web』や『GOAL』などに寄稿している。

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