REGULAR

緻密さと精巧さを兼ね備える“狂犬”のいま。柏レイソルのキーマン・高嶺朋樹に懸かる大きな期待

2024.06.14

太陽黄焔章 第13回

このチームを自分が牽引するのだという自覚は、強烈に持ち合わせている。移籍2年目となる柏レイソルの中盤で、高いクオリティーを発揮している高嶺朋樹のことだ。3月に負ったケガの影響で3か月近い戦線離脱を強いられながら、復帰したばかりにもかかわらず、既に攻守でその能力を遺憾なく発揮しているこのボランチが、今季のレイソルのキーマンであることに疑いの余地はない。

「今年は自分がチームを引っ張っていく」。柏2年目の意思表示

 高嶺朋樹は、今季の柏レイソルにおいて浮沈のカギを握るキーマンである。

 古賀太陽、犬飼智也とともに守備の安定を生み出し、攻守のリンクマンとして細谷真大、マテウス・サヴィオといったアタッカーへの供給源にもなる。移籍1年目の昨季は、高嶺自身が「自分の感覚を取り戻すのに精一杯だった」と話すとおり、本領発揮とはいかなかったかもしれない。だからこそ、今季に懸ける意気込みは強かった。

 「今年は自分がチームを引っ張っていく」

 それが、今年1月のチーム始動時に発した、彼の意思表示だった。

 球際の強さと高いボール奪取能力を有し、巧みなターンで前を向けばミドルレンジのパスで展開を一変させる。スペイン語で「運ぶドリブル」を意味するコンドゥクシオンにも長け、左足のミドルシュートも強烈だ。大谷秀和コーチも「朋樹は、普通のボランチにはない能力を持っている」とポテンシャルを絶賛する。

 大谷コーチは現役時代、柏の中盤で絶大なる存在感を発揮し、数々のタイトル獲得にも貢献した名ボランチである。高嶺は移籍加入した直後の昨年のキャンプから、大谷コーチとともに居残り練習に励む姿が度々見受けられたが、柏のレジェンドから受けるアドバイスと指導によって、高嶺は確実にプレーの幅を広げていった。

 「タニさん(大谷コーチ)から言われているのは、まず正しいポジショニングを取って体の向きを作ってから、自分のプレーをするということ。

 俺は後ろ向きのターンが得意で、まずはボールを奪われないことを優先しているので、後ろを向いている状態では相手からボールを遠ざける意味でも逆足でボールを持ちたい。例えばジエゴからパスが来たら左足で持ちたいから、左足にパスを付けてほしいと思っていたんです。……

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Profile

鈴木 潤

2002年のフリーライター転身後、03年から柏レイソルと国内育成年代の取材を開始。サッカー専門誌を中心に寄稿する傍ら、現在は柏レイソルのオフィシャル刊行物の執筆も手がける。14年には自身の責任編集によるウェブマガジン『柏フットボールジャーナル』を立ち上げ、日々の取材で得た情報を発信中。酒井宏樹選手の著書『リセットする力』(KADOKAWA)編集協力。

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