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客観的指標で見るカルチョ逆襲の必然と、「CL=最上位層」という高い壁への挑戦

2024.05.17

CALCIOおもてうら#16

イタリア在住30年、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えるジャーナリスト・片野道郎が、ホットなニュースを題材に複雑怪奇なカルチョの背景を読み解く。

今回も前回に引き続き、UEFAカントリーランキング単年トップ2入りが確定したイタリア勢復権の理由を読み解く。トップ層では4番手だが、全体では2番手でさらに上がり目あり――カルチョ逆襲の必然に迫る。

 前回に続いて、UEFAカントリーランキングで2年連続トップ2入りを果たし、復調の兆しが見えてきたイタリアサッカーの現状について見ていくことにしよう。

 UEFAランキングの上昇が、CLのグループステージで敗退したビッグクラブ、そして着実に実力をつけてきた中堅クラブが、それぞれELとECLで上位進出を重ねた結果であることは前回見た通り。他方、欧州最高峰のコンペティションであるCLでは、過去6シーズンのベスト8進出数(イングランド15、スペイン11、ドイツ8、イタリア5)が示す通り、今なお4番手の位置に留まっているのが現実である。

CL=最上位層での立ち位置はベスト8

 2010年代に孤軍奮闘していたユベントスは、経営戦略の失敗とそれがもたらした不祥事によって欧州戦線での競争力を失い、セリエAでもトップ4をどうにか確保という水準まで後退して、クラブの中期戦略レベルから再構築中。それと入れ替わる形で近年最もコンスタントに結果を残しているインテル(優勝2回、2位、3位各1回)にしても、昨シーズンこそCLで決勝進出を果たしたものの、CLではベスト8に手が届くかどうかという水準に留まっている。そのインテル同様、昨シーズンはCLで躍進したミラン、ナポリも、今シーズンはそれぞれグループステージとラウンド16で敗退し、ベスト8進出は果たせなかった。「CLのベスト8に1クラブ入れるかどうか、というのが客観的なイタリア勢の立ち位置」というのが実情ということになるのだろう。

 そのことは何よりも、近年の実績がはっきりと物語っている。現フォーマットになってから現在までの6年間でイタリア勢がベスト8に勝ち上がったのは、昨シーズンの3チームを除くと18-19のユベントスと19-20のアタランタのみ。しかも、ベスト8を決めたラウンド16の対戦相手は、18-19のユベントスがアトレティコ(第2レグにロナウドがハットトリックを決めて逆転)、19-20のアタランタがバレンシア、昨シーズンはミランがトッテナム、インテルがポルト、ナポリがフランクフルト。CLベスト8の常連というべきメガクラブに勝ったケースは一度もない。

ロナウドがハットトリックを達成し、逆転での8強入りを決めた18-19シーズンCLラウンド16第2レグのハイライト

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Profile

片野 道郎

1962年仙台市生まれ。95年から北イタリア・アレッサンドリア在住。ジャーナリスト・翻訳家として、ピッチ上の出来事にとどまらず、その背後にある社会・経済・文化にまで視野を広げて、カルチョの魅力と奥深さをディープかつ多角的に伝えている。主な著書に『チャンピオンズリーグ・クロニクル』、『それでも世界はサッカーとともに回り続ける』『モウリーニョの流儀』。共著に『モダンサッカーの教科書』などがある。

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