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レアル・マドリー、毎回恒例の優勝セレブレーションは実施せず

2020.07.17

 たとえ優勝してもセレブレーションは実施しない、とレアル・マドリーが声明を出した。

優勝しても祝勝イベントなし

 第37節開催前の時点で、首位レアル・マドリーと2位バルセロナのポイント差は4。Rマドリーが勝つか、バルセロナが勝てなければ優勝が決まる(同勝ち点の場合、直接対決の成績はレアル・マドリーが優位)。

 今晩(現地時間7月16日)の相手はUEFAヨーロッパリーグ出場権を争うビジャレアルで簡単に勝たせてくれそうにないが、Rマドリーは再開後9連勝とあって、今節で決まる、という見方が有力だ(編注:Rマドリーが2-1で勝利し、優勝が決定した)。

 通常Rマドリーが優勝した場合はその夜シベーレス広場にファンが集まり、そこへバスで到着した選手たちが合流し、女神像にマフラーを掛けるなどをして祝い、後日マドリッド市長の祝福を受けて市役所のバルコニーで優勝カップを捧げるなどのパレードを実施する。が、今回クラブはこうしたイベントを一切行わないことを決めた。

 理由はもちろんコロナ禍のため。

 スペインでは現在再感染が広がっていて、毎日300人前後の陽性者が出ており、生活制限解除のフェイズを逆戻りした地域や、封鎖されて出入り禁止となった地域もある。

 多数の自治体が「屋外屋内を問わず、ソーシャルディスタンスが守られていてもマスク着用が義務」という科学的根拠の怪しい、気温40度近い今なら熱中症が続出しかねない措置にすがりつかねばならないほど、打つ手がない状態だ。

若者が騒ぐのは止められない?

 問題は、ファンや野次馬がセレブレーション中止に従うかどうか。

 マドリッド市当局はシベーレス広場やお隣のアトレティコ・マドリーの聖地ネプチューン広場など、要所に300人程度の警察官を配置して待ち構えている。

 7月11日夜、2部のカディスが昇格を決めた際には数百人のファンが、地元メディアによれば「マスクを着用しルールを守りながら」、全国メディアによれば「マスクもソーシャルディスタンスも抜きで」祝ったと報じられている。

 今晩あるいは来週末、Rマドリーあるいはバルセロナが優勝を決めたら何が起きるか。

 おそらく若者を中心に少なくて数百人、多くて数千人が騒ぐのは止められないだろう、と私は見ている。

 日本同様、若者には当事者・加害者意識が低いこと、コロナ禍による失業者増の波をもろに被る若者には不満が溜まっていること、マスク着用義務に見る政府・自治体の無策が明らかになりつつあることが理由だ。

 非常事態宣言前夜、3月8日のマドリッドでは数十万人規模のデモが行われたが、それを許可した政府と自治体は何の責任も問われなかった。「ならば優勝祝いくらい……」と考える者が出てきても不思議ではない。


Photo: Getty Images

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Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。

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