NEWS

リーガが再開に向け動き出す一方、女子リーグはあえなく終了が決まる

2020.05.11

 男子プロサッカー(リーガ1部と2部)の練習が始まりリーグ再開に向けて動き始めた一方で、女子リーグが中断したまま終了することになった。

女子リーグは“アマチュア扱い”

 優勝は首位を独走していたバルセロナ。降格はなくなり、未勝利で最下位を独走していたエスパニョールも残留。来季は2部から昇格してきた2チームを加えた18チームで開催され、シーズン終了のタイミングで4チームを降格させて数の辻褄を合せる予定だ。

 また、コパ・デルレイナ(女王杯)の未消化分、準決勝と決勝は来季開幕前に順延された。

 非常事態宣言が延長されるたびに何度も日程が見直され、ラ・リーガが綿密な練習プランを組むなどしてきたのに対し、女子の方は再開の試みは一切なかった。

 スペインサッカー連盟のルビアレス会長が「女子サッカーは我われの優先事項だ」と胸を張ったのは1月のことだったが、現実はこれ。女子サッカーと同時にアマチュアサッカーの終了も発表されたから、言わば女子プロリーグは“アマチュア扱い”されたわけだ。

終了の要因は金銭面にあり

 もっとも、女子プロのアマ扱いは今に始まったことではない。なにせ、選手としての身分を保障する労働協約が締結されて待遇上プロになったのですら、今年2月のことなのだ。

 それまでは最低賃金の規定すらなく、月給10万円以下もざら、長期負傷の治療費は自腹で、妊娠したら解雇、「社保完備」の約束は嘘で……とブラックバイト並みだった。

 労働協約上の最低賃金は年俸1万6000ユーロ(約186万円)で男子の約10分の1だが、それでも雇用主(クラブ)側が渋ったせいで選手たちはストに突入せざるを得ず、基本的合意から締結まで1年半以上かかる難産だった。

 今回のリーグ終了に対して「男女差別だ」と声を上げた選手もいたが、この扱いの差はそんなイデオロギー的なものではなく、単に冷酷にお金の問題である。

 ラ・リーガはこのまま中止になった場合の放映権料収入のマイナスを5億ユーロ(約581億円)と算出しているが、女子1部リーグの場合は60万ユーロ(約7000万円)のマイナスとされる。

 つまり、損失額にして女子は男子の800分の1以下に過ぎない。リーガが再開されるとなれば隔離練習用と無観客試合用の施設や人員も必要となるが、女子のリーグにはそんな施設も金もない、というわけだ。

 一方、UEFAは女子チャンピオンズリーグも継続中なので、勝ち残っているバルセロナとアトレティコ・マドリーについては、まだ今シーズンは終了していない。“WE CARE ABOUT FOOTBALL”をうたうUEFAの出方はどうだろうか? 今のところ「女子リーグ終了はよろしくない」などの声明は出ていないようだが……。


Photo: Getty Images

TAG

アトレティコ・マドリーバルセロナ新型コロナウイルス

Profile

木村 浩嗣

編集者を経て94年にスペインへ。98年、99年と同国サッカー連盟の監督ライセンスを取得し少年チームを指導。06年の創刊時から務めた『footballista』編集長を15年7月に辞し、フリーに。17年にユース指導を休止する一方、映画関連の執筆に進出。グアルディオラ、イエロ、リージョ、パコ・へメス、ブトラゲーニョ、メンディリバル、セティエン、アベラルド、マルセリーノ、モンチ、エウセビオら一家言ある人へインタビュー経験多数。