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イングランド若手有望株から見たブンデスリーガの魅力とは(後編)

2019.08.26

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 前編では2人のイングランド出身の若手選手の話を辿りながら、ドイツ・ブンデスリーガが欧州の若手選手にとって、どのような存在なのかを確認した。ドルトムントを筆頭に、才能ある若手を積極的に起用し、高額の移籍金を獲得する循環モデルができつつあるドイツ。とりわけRBライプツィヒの動きは、その傾向をさらに強めていることが読み取れる。

「RBライプツィヒには、独特の若者の文化がある」

 チェルシーからレンタルでやって来たウェールズ代表DFイーサン・アンパドゥは「RBライプツィヒには、ある種の『若者の文化』に満ちている。本当に多くの若手選手と、若いスタッフたちが働いている。僕自身も、今は成長しないといけない。ここでは、他のどこよりも成長できると思っている」と、18歳の自分自身がキャリアの中で置かれた状況を理解した上で、自覚的にRBライプツィヒを選んだことを明かした。

 サッカーにとどまらず、スポーツクライミング、BMXやスケートボードなどのストリートスポーツ、そしてスノーボードやモータースポーツなど、積極的に若者が熱狂するスポーツに投資を行ってきたレッドブルのブランディングイメージが、サッカーの世界にも反映されていることも伺える。

 エバートンから完全移籍でやって来たアデモラ・ルックマンにとっては、さらにRBライプツィヒのプレースタイルと監督の存在も魅力的なようだ。「ユリアン・ナーゲルスマン監督自身も、まだ32歳と非常に若い。でも、なによりもRBライプツィヒでのプレーが楽しいのは、監督自身もブレッシング・フットボールをやろうとしていることだね。これは僕にとって、ピッタリなスタイルでもある」。

 これまでレッドブルが売り出してきたイメージに、サッカーの現場でもそれに合致させながら、現実のプレーに反映させられる状態ができ始めている。監督の存在がすでにクラブの“顔”として振る舞うことが求められる現代では、まさにナーゲルスマンのような若手監督の起用は戦略的にも重要な一手だった。

ルックマン「もう、プレミアリーグのことは考えない」

プレミアでもプレーしたルックマンだが、今はドイツでのプレーに集中している

 ライプツィヒで一度レンタルを経て、プレミアリーグのエバートンでもプレーしたルックマン。その比較の後、自身が活躍できるクラブと決断したRBライプツィヒを選んだルックマンにとって、イングランドでのプレーに未練はないようだ。

「プレミアリーグのことは、もう考えていない。2024年までの契約を結んだんだから、ここで自分が決めた目標を達成したいんだ」

 イングランド出身の若手選手たちの話は、ブンデスリーガ、そしてRBライプツィヒのイメージ、そして「ブランディング」が国外の当事者たちにどのような作用をもたらすのかがハッキリと見えるものとなった。これも数年に渡ってひとつのコンセプトに従って動いた結果が、実績として広く認知されたことによるもの。これからは、サッカークラブ、そして国内リーグが、自覚的に「どのように見られたいのか」、「どのような実績を残したいのか」といったひと目で分かるほどに明確な戦略性がますます求められていくことだろう。


Photos : Getty Images

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RBライプツィヒ育成

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。