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北ドイツのU-13で独立リーグ発足。DFB公式リーグから離脱のクラブも

2019.08.09

 今年の7月中旬、ボルフスブルクの地元紙『ボルフスブルガー・アルゲマイネ』やブレーメンの地元紙『クライスツァイトゥング』が、北ドイツのU-13カテゴリーで独立リーグが発足されることを伝えた。

 ドイツでは、ブンデスリーガ1部2部、あるいは各州のそれに準ずるクラブが独自の育成機関を持ち、それらは「Nachwuschleistungzentrum(ナッハブクス・ライストゥングツェントゥルム、通称NLZ)」と呼ばれている。むりやり日本語に直せば、「育成パフォーマンスセンター」だ。北ドイツの各クラブが、この育成機関に所属するU-13のチームだけで独立リーグ『NLZ-U13ノールトカップ』を立ち上げたのだ。

拮抗したレベルの7人制で実戦経験を

 『ボルフスブルガー・アルゲマイネ』によれば、このリーグでは、ハーフコートで7人制(フィールドプレーヤー6人+GK)のサッカーをプレーする。ボルフスブルクの担当者マティアス・シュタムマン氏によれば、U-13のチームを2つに分割し、サッカーコート1面に7人制のサッカーコートを2面作り、同時に2試合を行うことになるという。

 均衡したレベルの中で、より狭いコート、より少ない人数でボールに絡む機会を増やすことが狙いだという。これにより、選手の実戦でのプレー機会を増やし、選手のレベルを高い水準で拮抗させられるようになる、というのが各クラブの共通認識だ。公式戦としては認められないが、結果よりも「すべての選手が実戦経験を積み、出場時間を得られるようになる」ことの方が重要だという。

 同氏によれば、ひとつ上の年齢のカテゴリーで9人制ないし11人制の公式リーグに参加しても競争にならないことから、同じ悩みを持つ各育成機関の利害が一致したようだ。目的は「共に(大会を運営することで)、選手たちを同じレベルの中で試合をさせることで、成長の手助けをすることです」とシュタムマン氏は話す。

参加クラブ間にあるモチベーションの違い

 この大会には、ボルフスブルクの他にもハンブルク、ハノーファー、ブレーメン、キール、ザンクトパウリ、ブラウンシュバイク、そしてオスナブリュックが参加する。「ドイツサッカー連盟と争うつもりはない」と話すボルフスブルクは、今後もドイツサッカー連盟および州サッカー連盟が運営する公式リーグ戦に継続して参加する意向を示している。だが、ハンブルクや、ザンクトパウリはすでに州の公式リーグ戦から離脱しており、それぞれ大会を運営するモチベーションが違うようだ。

 ハンブルクは、この大会参加への公式プレスリリースのなかで、ノールトライン・ベストファーレン州を参考にしていることを明かした。とりわけ「レバークーゼンは、2000年代前半からU-9、U-11、U-13では、州の公式リーグから離脱し、同じ州内やオランダ、ベルギーの近郊の強豪クラブとのトレーニングマッチを行っている」ことを説明している。

『ボルフスブルガー・アルゲマイネ』は、「ドイツのトップリーグ所属クラブの育成はプロフェッショナル化が進み、それは若年層にまで及んでいる。これにより、これらのクラブのユースチームは、ドイツサッカー連盟による公式リーグでは、U-19とU-17のブンデスリーガのみで見られるようになるだろう」とまとめている。

 日本でも独立した私営リーグの発展が進んでいる。今後は、明確なコンセプトを持った各地域のJリーグやJFLチーム付属育成機関、あるいは地元クラブが互いに協力し合いながらイニシアチブを取ることも可能になるかもしれない。


Photo: Getty Images

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育成

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。

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