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ドルトムントU-15監督が語る「3バック」導入のススメ(後編)

2019.05.14

 前編では、ドルトムントのU-15のカテゴリーでは、4バックと3バックを共に習得させ、戦術的にさまざまなシステムに対応できるように訓練されていることや、指導体制を簡単に紹介した。

 今回は、『フースバルトレーニング』4月号に掲載されたドルトムントU-15監督のマルコ・レーマン氏の言葉を辿りながら3バックの利点と注意点について見ていこう。

ボール保持時の利点

「DFラインでのビルドアップのときに利点があります。最低でも1人は数的優位な状況になるので、確実にボールを動かしながら、相手のプレッシングのファーストラインを突破するのがだいぶ容易になります」とレーマン監督は話す。

 さらに、ボールを動かすと同時に、相手カウンターに対するセーフティネットの役割も果たすという。とりわけセンターバックには、勇気を持って前方向へボールを運び、縦パスを入れることを要求するため、カウンター対策にも気を使う。

「U-15のカテゴリーでは、まだまだボールロストが多いですし、私たちはセンターバックの選手たちに勇気を持って前に行くように促します。それに加えて、中盤に人を割き、全方向からプレッシャーを受けるような状況を作るようにしています。育成にとって、これらの要素は成長の助けになるものです」(レーマン監督)

3バックが機能するための条件

 守備では、5人でラインを形成し、スペースを幅広くカバーすることで、より前に出ていくアグレッシブな対応が期待できるという。「相手FWが中盤に降りるとしても、DFの選手はそのままDFラインに穴を空けずに付いていくことができます。そのため、DFの選手は勇気を持って、より攻撃的に前に出ていく守備ができるようになります。これは、両サイドの選手にも当てはまります」とレーマン監督は解説する。

 その一方で、注意点もあるという。とりわけ、両サイドのレーンに1人しかいないため、サイドで2対1の数的優位を作られてしまう可能性が高い。「両ウイングバックは、難しい判断を迫られます。前に出ていくのか? それともDFラインに残るのか? この判断は、とても難しいものです」とレーマン氏も認める。同時に、ボール保持時では「守備のクオリティを落とすことなく、ウイングの役割もこなせなくてはなりません」。

 5枚が連動してスライドし、ウイングバックが相手サイドバックにアタックできる高さまで調節することも求められる。左右のセンターバックには、サイドバックのように大外のレーンをカバーすることも求められ、より多くの運動量も求められる。なにより、受け身に回ってしまえば、このシステムは機能しない。

「積極的に前にアタックに行くディフェンスは、5バックでは戦術的に欠かせない土台です」(レーマン監督)

選手のポジションをひとつに固定しない

「育成の段階なので、選手には全てのポジションを経験させます。我々は、現在のパフォーマンスにのみ注意を払っているわけではありません。彼らには、いろんなことを試すチャンスを与えなければなりません」とレーマン監督は話す。

 コンセプトに沿ったさまざまなシステムやポジションを体験させるためには、戦術、選手の能力、それぞれの特性を正確に理解することが何よりも重要になる。育成のエキスパートの言葉が、3バックの導入を考えている人々の参考になれば幸いだ。

Photo: Getty Images

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ドルトムント戦術育成

Profile

鈴木 達朗

宮城県出身、2006年よりドイツ在住。2008年、ベルリンでドイツ文学修士過程中に当時プレーしていたクラブから頼まれてサッカーコーチに。卒業後は縁あってスポーツ取材、記事執筆の世界へ進出。運と周囲の人々のおかげで現在まで活動を続ける。ベルリンを拠点に、ピッチ内外の現場で活動する人間として先行事例になりそうな情報を共有することを心がけている。footballista読者の発想のヒントになれば幸いです。