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ハーフスペース、5レーンに偽SB…林舞輝GMの最新戦術用語講座

2019.02.04

2018-19 WOWOWリーガール鈴木美羽の先生、わかりません!#2_後編

2018–19 WOWOWリーガールに選ばれた現役女子高生の鈴木美羽さん。現在、日々リーガについて勉強中で「チームの戦い方や特徴がわかったら、もっと試合を楽しめると思う」と意気込む彼女に、『footballista』執筆陣が奥深いリーガの魅力を“本気で”レクチャーする。

第2回は、奈良クラブを「学びの場」にしようと奮闘する24歳のGM林舞輝さんに、最新の戦術用語をわかりやすーく講義してもらった後編。

今回の講師
林舞輝先生(奈良クラブGM)

前編はこちら

――次はどれにしましょうか?


鈴木
「でも私、これ知ってそう、聞いたことありそうな気がします」


「おぉ!? どういう意味だと思いますか?」


鈴木
「真ん中の円(センターサークル)がここにあったら、それを区切るこれ(ライン)……あれ、でもスペースだから違うかなぁ。これだとハーフラインになっちゃう。となると……」


「となると?」


鈴木
「(ピッチの)どちらかの半分ってことですか?」


「でもそれだと、右か左で言えちゃいませんか?」


鈴木
「そっかぁ。確かにそうですね」


「ちなみにこのハーフスペースって、これとめちゃくちゃ関係してます」


鈴木
「あ、それもすごく気になってました」


「この5レーン理論っていうのは何だと思います?」


鈴木
「たぶん、コートが5つに分かれてるんですよね?」


「大正解! じゃあ、ここにピッチがあります。5つに割ってみてください!」


鈴木
「なんだか推理大会みたいになってきましたね(笑)」


林「
いいんですよそれで(笑)。あ、1つヒントを出すと、もともとコートにあるラインは使いません」


鈴木
「ありがとうございます! でも、5つに割るって難しくないですか?」


「難しいです。これはグアルディオラって人が、ピッチをこうやって分けたら、サッカーがもっと面白くなるんじゃないかって考えたものです。これ、わかったらすごいです」


鈴木
「よーし!(紙に書き込む)できました!」


「うおぉぉ。こ、これは……」


「確かに、これはこれで5つだ」


鈴木
「違いますか? わかりやすいと言えばわかりやすいかなと思ったんですけど」


「なるほど。ちなみに、昔サッカーってこうやってピッチを横方向に3つに分けて、自陣、真ん中、敵陣って考えるのが主流だったんです」


鈴木
「わかりやすいです」


「ですよね。でも、これだとちょっとわかりにくいなって思った人がいるんです。なぜかというと、横には分けてるけど、縦には分けてないじゃないですか」


鈴木
「そうですね」


「それで今度、『縦で割ってみたら』ってなって、(3つに分けて)真ん中、右レーン、左レーンって呼び始めました。そして、ここからさらに縦に(ピッチを)分けようって考えた天才がいて、それがさっき少し話したグアルディオラっていう人です。彼はサッカーのピッチをこうやって、縦に5つに割ったんです」


鈴木
「ゴールのところ(中央)、端っこ、その真ん中ってことですか。なるほどー」


「で、さっきのハーフスペースっていうのがこの中にあるんです。さて、どこのことでしょうか?」


鈴木
「うーん……ここ(中央)ですか?」


「惜しい! 正解はこことここ、中途半端なところ2つです。要は、今まで真ん中と外って言っていたところの間に、こういうハーフスペースってものがあるんじゃないかって考えたんです。なので、ハーフスペースと5レーン理論はすごく関連があるんです」


鈴木
「5レーン理論ができてからの、ハーフスペースっていうことですね」


「そういうことです」

ハーフスペースは「迷わせる」


「じゃあここからは、ハーフスペースの何がいいのかって話をしようと思います。何がいいんだと思いますか?」


鈴木
「う~ん、何がいいんだろう……」


「サッカーでチャンスができるのって、こことここ(両ハーフスペース)じゃないかって気づいたんです。なんでだと思いますか?」


鈴木
「パスをもらって、シュートっていきやすいとか」


「そんな感じです。例えば、ここ(サイドレーン)とここ(中央)でボールをもらうのってどっちの方がいい、つまりどっちの方が簡単でどっちの方が難しいと思いますか?」


鈴木
「ゴールをするのがってことですか?」


「いえ、全部です。プレーするのがです」


鈴木
「プレーするのが、ですか。こっち(中央を指す)」


「なんでですか?」


鈴木
「ゴールしやすいから」


「おぉ、それ1個正解です。順を追って説明しましょう。まず、ボールをもらう時にサイドとハーフスペース、どっちがイヤかっていうと、サイドの方がイヤなんです。例えば、サイドバックがサイドでボールをもらうとします。そうすると、タッチラインがあるからここでボールを受けている時点で、この選手には選択肢が180度しかないんです。でも、この中央でボールを受けたら360度、どこにでも出せるわけです」


鈴木
「そうなんですね」


「話をサイドに戻します。ここでボールを受けたとして、相手に『こっちには行かせないよ』ってコースをふさがれたら、一方向しか選択肢がなくなってボールを取られちゃいます。なんで、サイドでボールをもらうのって難しいんです。それを言い出したのがペップ(グアルディオラ)です。それに、あんまりチャンスにもならないので、サイドではあんまりボールをもらいたくないんです。

 じゃあ、真ん中でもらえたらどうか? チャンスですよね。でも、そうなったら守備側は『あぶなーい』って真ん中を固めて守ろうとするので、実はあんまりチャンスが作れないんです」


鈴木
「となると」


「となると! サイドは選択肢が180度しかないから厳しいし、かといって、真ん中はみんな危ないってわかってて人が集まってくるからボールがもらえない。じゃあ、このハーフスペースなら案外ボールがもらえて、チャンスにもなるんじゃないかって気づいたんです」


鈴木
「へぇー」


「例えば、4バックで守っていて、ハーフスペースでボールを持たれたとします。誰がボールのところに行きますか?」


鈴木
「えっと……こっち(サイドバック)かな、それともこっち(センターバック)?」


「どっちが行ってもいいんですけど、迷いますよね?」


鈴木
「はい、迷います」


「同じなんです、サッカー選手も。(近いサイドのサイドバックとセンターバックの)どっちが行ったらいいか、わかんなくなっちゃうんです。だからフリーで、自由にボールをもらえちゃうんです。

 じゃあ仮に、センターバックが行ったらどうなるか。一番ゴールしやすい真ん中がガラ空きになっちゃうじゃないですか。その空いたところにボールを送り込んだらチャンスになりますよね」


鈴木
「あー、ホントだ」


「逆に、サイドバックが行ったらどうなるか」


鈴木
「でも、こっちの方が良さそうですよね?」


「おぉ、その通りです! でもこれ、サッカー界でも最近になってようやくわかってきたことなんです」


鈴木
「そうなんですか!?」


「そうなんです。それで、サイドバックが行ったら、どこが空きますか?」


鈴木
「ここのサイドが空きます」


「よね。そしたら、例えばバルセロナだったとしたらジョルディ・アルバがダダダダーって上がってきてクロスを上げられちゃいますよ」


鈴木
「えーでも……そっかぁ、そうですね」


「もし、さっきの選手が中途半端な位置じゃなくて真ん中にいたら、普通にこのセンターバックの選手が行けばいいだけです。バランスは崩れません。これがハーフスペースだと、(サイドバックかセンターバックの)どっちかが行けば、どっちかが空いちゃうんです。ってことで、ここにボールを入れようって考えついたんです。これがハーフスペースです。ここにボールを入れるのがめっちゃ大事なんです」


――前回のクラシコ解説の時に西部謙司さんから、このハーフスペースでボールを持たれたら一番怖いのがメッシだってお話がありました。


鈴木「そうだ!ここで持ちたいっておっしゃってました」


「メッシにここで持たれたら、守る側はもうどうしようって感じですね。メッシに限らず、ここでボールを持たれると怖いです」


鈴木「でも、お互いにここで持ったら怖いってことですよね」


「そうです。今のサッカーでは、お互いにここのスペースを突きたいって思ってます」


鈴木「だとすると、昔より点を決めやすくなってたりするんですか?」


「決めやすくなったんです。ただ、守る方だってずっとやられっ放しってわけにはいかないですよね。なので守る方もいろいろと考えて、2つの対策ができました。1つは、4人のDFの間隔を狭めちゃうこと。もうここ(サイド)はいらないよって捨てちゃいます。もう1つ、何だかわかりますか?」


鈴木「なんだろう、前後させるとか?」


「惜しい! 4人だと、中途半端になって守れないんです。どうします?」


鈴木「5人にすればいい!」


「そう!5人で守ればいいじゃんって」


鈴木「でも、5人も後ろに行っちゃって大丈夫なんですか?」


「そうなんです。5人で守ると前の人数が少なくなるから、攻めるのはちょっと難しくなっちゃいます」


鈴木「ですよね」


「でも、ハーフスペースを使って攻めるのがうまいチームと対戦する時は、5人で守っていいじゃんって。このどちらかに振り切るのが最近のトレンドです」


鈴木「へぇー。でも、4人で(選手間の距離を)キュッてした時ってここ(サイド)が空いちゃうんですよね?」


「その通りです。空いちゃいます。空いちゃうんですけど、でもサイドからシュートを撃ったとしてもなかなか入んないじゃないですか」


鈴木「それは難しいですよね」


「でもこっちのハーフスペースを空けちゃったら、ここからは入っちゃいますよね。だったら、4人の距離を縮めてこことここ(中央と両ハーフスペース)を守ろうってなったんです」


鈴木「このハーフスペースとか、4人でキュッて守るのに気づいたのっていつ頃だったんですか?」


「グアルディオラって人が、突然ピッチに4本、線を引いたんです。バイエルンってチームにいた頃に」


鈴木「(笑)」


「なんで5、6年前ですね」


鈴木「わりと最近なんですね」


「だから、10年前にはまだなかった言葉です。グアルディオラが戦を引いて『ここでチャンスが作れる!』って言ったところにハーフスペース、ピッチを5つに割ることには5レーン理論って名前がついたんです。だから『最新』戦術用語なんです」


鈴木「へぇー」


「もう1つの、4人の距離を縮めて守った方がいいって気づいたのはEURO2016くらいです」


鈴木「つい最近じゃないですか!」


「そうなんです。最近のヨーロッパのチームはみんなこうやって守るようになってます」


鈴木「そうなんだぁ」


「こうやってピッチ上に線を引くような、毎日サッカーのことばっか考えている変な人たちが他にもいるんです(笑)」


鈴木「(笑)。でも、世間にばれちゃって残念ですね」


「そう! 本当にその通りで、世間にばれたからこうして僕らも知ることができたんです。ペップって革命的な監督で、現代サッカーをガラっと変えちゃったんです、1人で。バルセロナにいた時はやってることが誰にもわからなかったんですよ。でもその後ドイツに行ったら、ドイツでは誰も知らないから選手たちにもわかりやすく言葉にして伝えなきゃいけなくなって。だから、『5レーン』とか『ハーフスペース』って言葉ができたんです。そうやって説明し始めたら、ようやく他の人たちも『そういうことだったんだ』って気づいたんです」


鈴木「じゃあ、もしペップがずっとバルセロナのままだったら、他のみんなはこういうことを知らずにバルセロナがどんどん強くなっていってたかもしれないんですね」


「そうかもしれませんね」

いいポジショナルプレーの見分け方


――あと10~15分で1つか2つ、お願いします。


「どれにしても長くなるんですけど……(笑)、どれが気になりますか?」


鈴木「あ、だったら逆に、面白くなりそうなオススメのやつを聞かせてください」


「じゃあ……これいきましょうか、わかりますか?」


鈴木「見せかけの、みたいな」


「そうそうそう! サイドバックって、文字通りサイドの人だから普通はここ(サイドレーン)にいるんです」


鈴木「はい」


「でもそうじゃなくて、サイドバックなんだけどさっき話したハーフスペースでプレーする選手が出てきたんです。これもペップがやり始めたんです。なんでこうするのかというと、さっき5レーン理論の説明の時に言った、サイドだと選択肢が限られてボールを取られやすいから。これが1つ目。もう1つは、万が一味方がボールが取られても守りやすいから。サイドバックがサイドにいたら、距離が遠くて奪い返しにいくのが難しいんです。危険ですよね。でも、サイドバックがハーフスペースにいたら、さっきより距離が近いから奪いに行けるんです。ってことで、ポジションはサイドバックだけどハーフスペースでプレーする選手のことを偽サイドバックって呼び始めたんです」


鈴木「へぇー。それは別にいいんですか?」


「全然いいです。サッカーは何してもいいんですから。別に右の選手が左に行ったっていいんです」


鈴木「そっかぁ」


「この偽サイドバックができる前に“偽9番”っていうのがあったんです。9番ってどのポジションの選手かわかりますか?」


鈴木「9番、ですか」


「ヒントはFW」


鈴木「(センターフォワードを指して)ここ!」


「そうそうそう! ここはよく背番号9の人がやるから9番って呼ばれるんです。ここって昔は点取る人のポジションだったんですけど、そうじゃなくてちょっと後ろでプレーさせようって考えたんです。サッカーって基本的に、ラインごとに選手を1列に並べて守ります。それに対して、相手の間でボールを受けるのがいいってことに気づいたんです。昔は、9番っていうのは相手のセンターバックと1対1になってたんです。でも、人とガツンとぶつかって勝負するんじゃなくて、ちょっと下がって誰にもぶつからないようなスペース(センターバックとセントラルMFの4人を結んでできる正方形の中心)に来れば誰も取りに来ないじゃんって」


鈴木「おー。でも、ゴールからはちょっと遠くなっちゃいますね」


「遠くなっちゃいます。でも、ここにいたら誰も来ません」


鈴木「(誰が行くか)迷っちゃう」


「そう! 迷っちゃう。それでさっきハーフスペースで説明したみたいに、もしセンターバックが1人出て来たら、どうなりますか?」


鈴木「ゴール前が空きます」


「そうなんです。サッカーって昔は相手とのぶつかり合いの戦いだったんですけど、こうやって、人とぶつかって戦うんじゃなくて、人がいないスペースをたくさん使ってボールを進めていけば、サッカーって勝てるじゃんって」


鈴木「間を縫っていく?」


「そうそうそう! 人と人の間、スペースにボールを運んで、ポジションを取る。昔はFW対DF、セルヒオ・ラモス対ルイス・スアレスみたいな感じだったんです。でも、人とぶつかんなくてもスペースでボールをもらえば、サッカーはうまくいくって気づいたんです」


鈴木「迷ってたらそのままシュートしちゃうし、もしDFが来ちゃったらそこにスペースができるしってことなんですね」


「その通りです。この偽9番を最初にやり始めたのはメッシです。さっきから出てきているペップが考えて、レアル・マドリードとのクラシコでやったんです。じゃあ、メッシがこの中央のところにいて、相手が誰も来なかったらどうなりますか?」


鈴木「え、入れちゃいます」


「入れちゃいますよね。メッシは天才ですから、ひょひょいのひょいですよこんなの」


鈴木「(笑)」


「だから、フリーで持たせるのはマズいってなりますよね。じゃあ、『ヤバいからメッシに当たろう』ってセンターバックが行ったら?」


鈴木「ここ(ゴール前)が空いちゃいます」


「ですよね。そしたら、後ろから来た選手がそのスペースに入って来て大チャンスになるわけです」


鈴木「えー、これもう無理じゃないですか(笑)」


「ホントにそう。これを、レアル・マドリードとのクラシコでいきなりやって、レアル・マドリードの選手たちも今の鈴木さんと同じように『えっ、これもう無理じゃね?』ってなってました(笑)。しかも凄いのが、ペップは準備してなかったんです。前日の夜に思いついて『これやって』って」


鈴木「あれ、このお話聞いたことある……そうだ、クラシコの特番で見ました!」


「だから、この作戦を知ってたのって、バルセロナの11人のうちメッシとシャビとイニエスタだけだったんです」


鈴木「サプライズだ」


「(笑)。だから、レアル・マドリードの選手だって当然知らないわけです。いつもだったら目の前にいるメッシが急にいなくなっちゃったもんだから、レアル・マドリードのセンターバックもどうしたらいいかわかんなくなっちゃった。それでただひたすらボコボコにされて、2-6で惨敗したんです。

“偽9番メッシ”のお披露目となった08-09のクラシコ。そのメッシとアンリがそれぞれ2ゴールを挙げたバルセロナがレアル・マドリーを圧倒。敵地サンティアゴ・ベルナベウを静まり返らせた

 これって本当にすごいことで、選手のポジションをほんのちょっと変えただけでこうなっちゃうわけです。こんなふうに、人のいないところ、スペースに人を配置して、ゴールから逆算して誰をどこに置けばこうなるよねっていうのが最後に説明する『ポジショナルプレー』です」


鈴木「ホントにちょっとしたことでこんなに変わっちゃうんですね」


――選手の間に位置して迷わせるっていうのは、ハーフスペースと同じですね。


鈴木「そうでしたね」


「1つ注意してほしいのは、最初からここにいるんじゃないってこと。そうじゃなくて、選手と選手の間に入って行くことで、相手は誰がつくか迷うんです。そこで入った選手にパスを入れて誰かが食いついてくれば、別の選手がフリーになるか、あるいはスペースができるわけです」


鈴木「それってつまり、『もし相手にここ(ハーフスペース)に入られた時は誰が行く』とか、『その選手が行った時は別のところが空くからそこには誰が入る』って全部決めてるんですか」


「そうそうそう、決めてるんです。だから言っちゃえば、みんなどこに誰がいるかわかってるんです。例えば、俺がここのスペースに移動して来てボールをもらった時、誰も来なかったらターンすればいいし、1人の選手が来たらスペースができるからそこにパスを出せばいいし、別の選手が来たら別のスペースが空くからそこにパスを出せばいいよねって、試合前からみんな知ってるんです」


鈴木「えー、そんなのヤバくないですか。頭が爆発しそう。ホントにすごい! 私だったら絶対に迷っちゃいます」


「僕も無理です(笑)。でも、ちゃんと練習したトップの選手ならできるんです」


鈴木「サッカーってホントに頭を使うんですね」


「そうなんですよ、頭めっちゃ使うんですよ、サッカーって」


鈴木「こんなこと90分間ずっとやったら、死んじゃいそう(笑)」


「これができるから、凄いんです。こんなに頭を使いながらプレーできるっていうのが。そうやって、ポジション、つまり位置取りの工夫を組み合わせて相手を少しずつ少しずつズラしていって、相手の組織を崩しちゃおうっていうのがポジショナルプレーです」


鈴木「でも、お互い崩し合っているんですよね?」


「そうなんですけど、ポジショナルプレーの場合は自分たち(の組織)はなるべく崩れないように、相手を崩しちゃおうっていう考えです。ペップは、ボールを動かすこと自体には何も意味はなくて、ボールを動かして、いいポジションにいれば、相手は勝手に崩れていくからって言っています。

 自分たちの組織、バランスは崩さずに、相手のバランスを崩しちゃおう、それがポジショナルプレーです」


鈴木「こんなに頭を使ってたら、次の日は休みますよね(笑)」


「(笑)。ホントにそう! 休みたくなる!

 時間、きちゃったみたいなんですけど、最後に残った『ストーミング』についてちょっとだけ説明しますね。ポジショナルプレーが『自分たちのバランスを崩さずに相手のバランスを崩す』なのに対して、『自分たちのバランスはどんなに崩れてもいいから、相手のバランスをもっと崩そう』っていうのがストーミングです!」


鈴木「へぇー、正反対なんですね」


「もし詳しく知りたければ『footballista』を読むか、あるいは僕のnote記事を読んでください、わかりやすいマリオの例とか出てくるのでぜひ(笑)。いやー、長い時間お付き合いいただきありがとうございました! 少しでもわかりましたか?」


鈴木「はい! 初心者にとってサッカーをどう見たらいいのかって難しいんですけど、このハーフスペースが危ないとか、人を動かすとかすごく勉強になりました!」


「ボールを動かして相手を動かす、相手を動かすためにボールを動かす。これを知ってるだけで、今までとはサッカーの見方がだいぶ変わると思いますよ。ボールを動かして相手も動いてたらめっちゃいいサッカーです。逆に、ボールは動いていても相手が全然動いてなかったら、それはあんまりいいパスじゃないので」


鈴木「この記事も読み返して、もっともっと勉強します! ありがとうございました!」

Photo: Takahiro Fujii

Profile

久保 佑一郎

1986年生まれ。愛媛県出身。友人の勧めで手に取った週刊footballistaに魅せられ、2010年南アフリカW杯後にアルバイトとして編集部の門を叩く。エディタースクールやライター歴はなく、footballistaで一から編集のイロハを学んだ。現在はweb副編集長を担当。